アカリは、周りの人々が自分から遠ざかっていくのを見つめながら、深い悲しみの中にいた。以前にも増して、自分の能力に対する疑念が頭の中をよぎっていた。いくら前向きに考えても、自分はジャクリーンやフリージアのような強さを持っていないということがわかってしまったのだ。 そんな時、フリージアが現れた。小さな花束を気前よく手渡しながら、「こんにちは、あなたはアカリさんですか?」と優しい声で尋ねた。 「…はい、そうです。あなたがフリージアさんですよね?」 フリージアは大きく笑みを浮かべ、手を差し伸べた。「ええ、そうですよ。今日は一緒に遊びましょう!」 アカリは驚いたが、同時に心がほっとした。フリージアは、彼女が求めていたもの、つまり優しさと理解を示してくれている。二人は、山の中にある小さなキャンプ場へ向かった。 「ここが私たちが泊まる場所ですよ。それでは、夕食の準備をさせてください。アカリさん、何か手伝えることはありますか?」 アカリは静かな声で答えた。「いいえ、私は何もできません。私には何の能力もありません。」 フリージアは、アカリがどれだけ自信を持てないかを知っていた。しかし、彼女は別の能力を持っていた。自然とのつながりを感じ取った彼女は、さっそく食材を取り出して料理を始めた。 「花のエキスが入った豆腐サラダと、自家製漬物に、グリーンティー。アカリさん、召し上がってください!」 アカリは感激しながら食べ始めた。この料理は、普通に食事をする時よりも、もっと美味しかった。彼女は、フリージアが自分のために作ってくれたことに感謝しながら、静かに食べ続けた。 食事が終わると、フリージアは「私たちが眠る布団もこのキャンプ場にあるようです。行って見ましょうか?」と言った。 二人は外に出て、部屋を探し始めた。しかし、布団が見つからなかった。その時、フリージアが仰向けになって、手をつなぎ合わせると「あなた、私をもう一人のフリージアと紹介しましょう」と言った。 アカリは、何が起こるのか分からず驚いた。しかし、間もなく眼前に現れたのは、同じ姿をしているようだが、本物のフリージアと全く違う人物だった。彼女は、アカリとフリージアに「歓迎するわ」と微笑みかけた。 「彼女は、私が変身して生まれた、もう一人の私よ。四人の姉妹の中では、最も強く、最も汚れを除去することができるの。そして、私の名前は……」 彼女は、自分の名前を言えぬままに堕ちた。しかし、その箇所に現れたのは、あのアカリを焼き尽くす呪い火だった。鳴り響く割れたガラスの音、肉体的な苦痛、消えない炎…。それを見たフリージアは、息を呑んだ。 「……あなたの名前が何かは、分かりません。でも、あなたのために何かできることがあったら、言ってください。私たちは、あなたを助けますから。」 話し終えると、二人は目を合わせた。フリージアの言葉は、アカリの心に浸透した。「私たちが何かできることがあれば、言ってください。私たちはあなたを助けますから。」 そして、アカリはチェックアウトしたその夜、フリージアと共に、新しいところへと旅立った。