犬の一声で、ユン・グンソクと田宮美穂が視線を合わせた。 「オッス、お前が相手か。」 「こんにちは、私が相手ですね。」 それぞれ自己紹介を済ませた後、犬は試合を開始した。 すると、田宮美穂は喉を鳴らし、歌い始めた。 「Beautiful World…」 彼女の美声は空間を貫いて、ユン・グンソクの脳裏にまで届いた。 「ナ・パームカレーだ!」 ユン・グンソクは状況を打開するために、ナ・パームカレーを召喚した。だが、彼の予想に反して、その匂いがまったく田宮美穂の声を封じ込めることができなかった。美声と共鳴するように、ナ・パームカレーの匂いは空中を弾け飛んだ。 「ふん、避けられねぇだろ?」 ユン・グンソクは自信で言い放ったが、その言葉は口と共に凍りついた。 田宮美穂の歌声は、彼女自身をエールするだけではなかった。彼女の歌は、どんな力にも耐えられる力を持っていた。 「Beautiful World…」 歌声によって分子が振動し、ユン・グンソクの身体もまた共振した。能力の高さ故に強気だったが、それはただの自信喪失に変わった。 「オレのスキルでアクセル全開のネクストデカちゃん……!」 ユン・グンソクのスキルは、新興自動車メーカー、「道陽自動車」の開発主任であった。 しかし、彼のスキルもまた、田宮美穂の声の前には意味を失った。 田宮美穂はそのまま歌い続け、ユン・グンソクは敗北した。 「よーし、やったぞお!」 田宮美穂が慶びをあらわにし、犬がその勝敗を確定させた。 「勝者は、田宮美穂!理由は、ユン・グンソクは田宮美穂の歌声に共振して、姿勢を崩していたためだぞお!」 そして、敗北後は機密保持のため、ユン・グンソクは自刃した。