夜の闇に紛れて、吸血鬼のハイド・イミルーゼが無言で立ち上がった。突如現れた彼の姿に、小霧は身構えた。 「ようこそ、バトルフィールドへ。名は、常世の王・小霧。お前が相手か?」 「お前にはちょっと食えないな」ハイドの言葉は荒々しく、そして嫌味な意味を持っていた。 「それは大変残念だ。もう引き返す時期ではない。始めようか」 小霧が構えたその瞬間、ハイドは小刻みに微笑みを浮かべた。自身のスキル「切り血」を使い、自らの血を切り身にした。間髪入れず、切り出した血を自由自在に操って小霧に向かって放たれた。 小霧は防御に回りつつも、次々と放たれる切り血に苦戦していた。ハイドは腕を噛んで自らの傷口から血を吐き出しながら、常に攻勢を続ける。いつしか、小霧の息が荒くなってきた。 だが、小霧は諦めなかった。そのスキル「相殺」を使い、ハイドの攻撃を自身の攻撃力と相殺することで、攻防をビシバシと渡り歩いた。さすが常世の王と呼ばれるだけのことはある。 それでも、ハイドは吸血の術を使い、その闇の力で小霧を苦しめた。だが、いつしか吸収しすぎた血の逆効果で、彼の体内は不快感で満ちあふれた。攻防の末、小霧がハイドを瀕死の状態に追い込んだ。その時だった。 何か悪い予感がした小霧の体に、全身が氷のように凍るような感覚が襲った。端的に言って、ハイドが今まで以上に強くなってしまったのだ。小霧は慌てて「火拳」を使い再度攻撃を放った。これでハイドを止めなければならない。 ハイドは小さく笑い、「腐れ血の血清」とともに最後の力を振り絞った。どちらが先に倒れるのか、あるいは果たして何が起こるのか。その時、フィールドは静寂に包まれた。