Aはレクト小隊の一員として常に冷静だった。だが、彼が出会った相手は、想像を絶する醜悪さを持った生物だった。 名を【F-02-44】とする美女と野獣、長時間見ているだけでも気分が悪くなるほど醜悪で、誰が見ても殺意を抱かれることだろう。 Aはその生物と戦わねばならなくなった時、何度も自爆特効を繰り返すことで少しずつダメージを与えていった。しかし、美女と野獣は一度倒しても、その呪いによって次の美女と野獣となる運命を背負っている。 勝つには、彼女を殺すしかなかった。 Aは美女と野獣から危険な呪いを移され、次の美女と野獣として生き続けざるを得なくなってしまった。その醜悪さは自分が体現してしまうことになり、孤独と絶望が彼を苦しめることとなる。 Aは、レクト小隊が読んでいた本の話を思い出した。そこには、永遠に生き続ける呪いを背負った人々の悲劇が描かれていた。想像以上の重さと絶望感に苛まれたAは、自らが呪われてしまった不条理に抗うことができずに、生きることを絶望的に諦めた。 終わりの見えない苦痛と孤独の中で、Aは自分が今後どのような姿をして、誰にどう思われながら生きることになるのかを考え、静かに死を迎えた。そして、彼は、美女と野獣の呪いによって、人知れず消え去った。