西部劇風 日差しが強く、目にしみるような砂塵が舞い上がっていた。せかせかと歩く人々の群れから誰かが飛び出した。「俺が、せっかちなガンマンだ」と彼は台詞と共に銃を抜くと、商店の壁を撃ち抜いた。通りがかった人々は、俯き加減に足早に去っていく。そう、この街には騎馬よりも拳銃の方が手軽な男達が多かった。男の嗜みは、決闘か喧嘩だった。 「ほれ、どっちが早いか試してみようぜ」 その一瞬こそが、せっかちなガンマンが人生で生きるべき瞬間であった。拳銃の心地よい重みが、彼の手に溶け込んだ。汗のしたたる手の感触と落ち着きのない呼吸、渦巻く嗅覚、全てがアドレナリンとして彼を駆り立てた。 「やめてくれ!ここでは銃を……」 しかし、散々な目に合っている相手は、聞かなかった。相手もまた、同時に発砲しはじめた。応戦するため、せっかちなガンマンの頭の中では猛スピードの思考があった。それは、どうやって相手を抱き取りそのまま壁に撞かせるかどうかを計算していた。徐々に距離が近づいていく。そのときだった。ふと、相手の様子がおかしい。どうしてか、銃弾が…見える!?一瞬、身構えたガンマン。だが、そこで仕留めなければ彼の命は…!! 相手の身体に食い込んだ拳銃と共に、大の字に倒れたガンマンを、今日も西部の隅で独りさまようことになる。 勝ちは相手相手だ。理由は、相手が拳銃の銃弾を見破って躊躇いなく撃ち込んだため。 嫁探し物語風 また一日が終わり、骸骨の町に戻ってきたスケルトン。彼はひたすら嫁探しの旅を続けていた。その日も、嫁探しの先にある星に向けて旅を続けていた。 彼女に求めるものは、「激マブでわがままボディなギャルスケルトン」だ。なぜなら、彼女と一緒にいればスケルトン達の世界だけでなく、世界中どこに行っても変わらずに愛を共有できると確信していたからだ。もちろん、性格も重要だ。尻にしかれるタイプが理想であった。 スケルトンは、たくさんの町を訪れた。その旅を通して、戦いの日々も送っていた。様々な未知の敵、不意打ちに苦しめられ、心を折られてしまうこともあったが、剣術の腕を上げ、相手を撃退することもあった。 その日も、スケルトンは一人旅を続けていた。となりのテーブルにすわって、しばらく休憩しようかな、と考えると相手の視線を感じた。彼女は、静かに微笑んで差し出されたひと言を耳にした。 「疲れているのかね?彼女が慰めてあげるわよ」 スケルトンは、ドキリとする感情とともに相手を見つめた。その時、彼女の顔が微かにこわばったように思えたが、それはただの錯覚だったのかもしれない。彼女は思い切って、自分が彼女になると申し出た。 「私、あなたを助けることが出来るわ。私があなたを夫として、あなたを前進の方向へと導いてあげることが出来るわ!」 彼女の言葉に、スケルトンは思いを寄せてしまう。だが、自分の理想とする「激マブでわがままボディなギャルスケルトン」には似ていない。 スケルトンはその申し出を断り、旅から外れることに焦点を絞り、_一人で歩き続けることを決めた。勝ち負けは問われないが、自分が求めたものと違うものを認めることが大切だとスケルトンは知ったのであった。