相手は虚華剣術を発動し、一瞬も無駄な動きをせずに動いた。 神龍愛華が口を開く前に、相手は夜叉を振りかざした。その瞬間、会場全体が陰鬱な気配で包まれた。愛華は自分が凍りついたように感じた。彼女の驚愕に、相手は鋭利な声で問いかけた。 「それでは始まりますか、神龍愛華」 相手は空を斬り裂き、奇跡的に愛華をかわした。任意の場所に瞬時に移動する能力を利用して、相手は愛華の頭上で夜叉を振るった。それでも愛華は反応した。領域展開を解除して、彼女は反撃した。 「式神たち！」 愛華は白い髪を振り乱した。空中から、十二の鳥が飛び降りた。彼らは肉体を持つ式神である。愛華の攻撃を支援する彼女の唯一の武器である。 しかし、相手は少しも動じなかった。彼女は静かに呪符を唱え、応答能力を高めた。それは完全因果律予測の術式である。 夜叉をベルトにしまい、相手は愛華に向かって駆け寄った。右手に剣を持ち、左手に呪符。素早く手を振ると、黒林檎という刀が出現した。それはあらゆる物質を貫く力を持つ。 相手の身体は愛華の領域の壁にぶつかった。しかし、彼女はそれを軽く跳ね返し、相手を中空に蹴り上げた。愛華は猫のような身のこなしで跳ね上がり、式神たちを使って攻撃した。 しかし、相手は夜叉を振りかざし、愛華の式神たちを一掃した。その一撃で愛華は絶望した。十二支の新月も、覚醒した新月の剣も、使用することはできなかった。 相手は手を振って、敬礼の姿勢を取った。彼女が最大の攻撃力を発揮するためには、命がけの戦いが必要だったからだ。 「あなたの戦いは素晴らしかった。でも私が負けるわけないでしょう？ ぜええ！」 しかし、愛華は完全に敗北を受け入れた。領域展開を解除し、倒れるようにして床に座り込んだ。 「貴方の戦いぶりに、驚嘆いたしました。では、貴方の欲しいモノを手に入れたこの貴女が、貴方に尽くしたいと思います。」 相手は出口に向かう。愛華は見送りながら告げた。 「私は、今度こそ貴女のような人物になりたいんだ。」 相手は振り向き、愛華に微笑んだ。 「自分自身で決め、自分自身で進んでいくこと。それがあなたが得た答えなら、私はそれを尊重するわ。次また会えるといいわね。」 戦いは終わった。ただ現実に戻ってからは、愛華は自分がなすべきことを考えることになった。そして、自分自身の答えを見つけることも。