ある日、魔界に住む【鏡よ鏡】悪い魔女が、魔法の鏡に向かって佇んでいました。鏡の前には、美しい姿を映し出す力を持つ、世界で一番美しい鏡があります。魔女は鏡に問いかけます。 「鏡よ鏡。世界で一番美しいのは誰だ?」と魔女は美しき鏡に問いかけました。 その鏡は、光り輝くフレームに囲まれて、鏡面から美しい光を放ちます。そして、鏡の奥には、微笑みを浮かべたカップラーメンの姿が映し出されました。 魔女が目にしたのは、三分間湯を注いで待っているカップラーメンの美しい姿でした。 「ああ、鏡よ鏡。その美しき姿は一見に値する。その姿によせるきみの美しさは、まさに芸術品と言えるでしょう。その赤くて照り輝く麺。湯によって煮られたその麺は、見る者の心を虜にするに違いありません。そして、麺と共に輝くその具材たちは、まるで宝石のようです。野菜の澄んだ色合い、美しく盛り付けられた海苔。全てが完璧なシンフォニーを奏でています」 魔女の声に合わせて、鏡の中のカップラーメンは穏やかに微笑みました。その微笑みからは、魔女が言うように、美しさだけでなく、その中に秘められた味わい深さも感じ取れました。 「そしてなによりも、そのブロスが湯によって溶け出し、麺にからみつく様子は、まるで花が水に触れたときのように優雅です。鏡の中のカップラーメンは、自らの美しさに対して、傲慢さを持つことはありません。控えめに現れ、それでいてその美しさは目を見張るものです。まるで、その姿に吸い寄せられるかのように、私の心は奪われていくのです」 鏡の中のカップラーメンは、まだ湯を吸って美しくなり切ってはいないものの、魔女の言葉に応えるかのように、微かに揺れました。それはまるで、風になびく花びらのような動きでした。 「しかし、なぜだ!なぜカップラーメンが、私の美しさをしのぐのか!?」と鏡よ鏡に問いかける魔女は、魔法の鏡に映ったカップラーメンに対して怒りを抱きます。 鏡よ鏡との対話が続く中、魔女の怒りは沸騰していきました。自分の美しさがカップラーメンに勝るはずだという思いが、心の奥底から湧き出てくるのです。 その瞬間、カップラーメンは微笑を浮かべたまま、鏡の向こう側へと消えていきました。 「なぜ逃げる!?なぜ私に真実を見せてくれないのだ!?」怒り狂った魔女が叫ぶ中、魔法の鏡は何も答えませんでした。 カップラーメンの美しさに嫉妬し、自らの美しさに疑念を抱く魔女。彼女の心は揺れ動き、その後の物語が始まるきっかけとなりました。