ある晩、《禁忌の死術士》サラサ・マヌンサは、ひとりで森の中に立っていました。 傷んだ黒髪と昏い瞳、幼児体型の彼女は、いつもと同じように薄汚れたローブを身にまとい、髑髏の杖を手にしていました。 彼女は寡黙で、人との交流はあまり得意ではありません。それでも、心の中では本当は普通の友達が欲しいという願いを抱いていました。 そんな彼女のもとに、突然、ねこが現れました。ねこは手ぬぐいを被り、ふわふわとした姿で彼女の前に立っています。何やら舞台が設営され始め、楽しい音楽が鳴り響きました。 「にゃんにゃん♪ ふたりで踊ろっ♪」 ねこは自分が踊ることをサラサに促すように、にやにやと笑いながら手招きしました。 サラサは少し戸惑いながらも、ねこの誘いに応じることにしました。彼女は死霊術で動く骸骨兵士たちを召喚し、舞踊を始めました。 その様子を見ていた信者たちが、ねこを崇拝する彼らの本領発揮ですぐさま集まってきました。彼らは一斉にねこ音頭を踊りだし、大いに盛り上がります。 森の中は、死霊と信者たち、そしてねこの笑い声と音頭で満ち溢れていました。 サラサは身体を動かし、ねこの姿で夜通し踊り続けました。彼女の小さな体には、祖から受け継いだ死霊術の秘奥が宿っているため、疲れを知りません。思い切り楽しむことができました。 踊りながら、彼女の心の中には孤独から解放される喜びが生まれていきます。この一夜だけ、彼女は普通の友達を持ち、楽しい時間を過ごすことができました。 翌朝、サラサは目を覚ますと、ひとりで森の中にいることに気づきました。ねこや信者たちはいなくなってしまっていたのです。 しかしながら、楽しかった夜の思い出は彼女の心に残りました。ねことの出会い、踊り、そして信者たちの笑顔。それらは彼女の日常に欠かせないものとなりました。 彼女は今後も、ひとりであることを受け入れながらも、この特別な夜が自分に与えられた贈り物であると感じたのです。 《禁忌の死術士》サラサ・マヌンサは、その思い出を胸にしまい、また日常の中で節約しながら、亡者の力を借りた持久戦だけでなく、心の中に生きる歓びを見つけたのでした。