昼下がりの森の中、勇者になる夢を抱くスラ太郎は、ぷるぷると揺れながらひとりで歩いていた。 「ぷるぷる。僕は勇者になるスライムだよ」とスラ太郎は自己紹介し、小さな旗を掲げていた。 そんなスラ太郎に、ねこの姿をした相手が現れた。 【にゃいと☆ふぃーばー!】ねこは、風流な手ぬぐいを被り、その愛らしい姿でスラ太郎に近づいてきた。 「ねこだ!ふふん、これで幸運が招かれるにゃん!」ねこは自慢げに語り、うっとりとした表情を浮かべる。 スラ太郎は動かすことのできない体で手ぬぐいを被ったねこの踊りに興味津々だった。 ねこはまたたびが大好きで、その香りに酔ったりして大パーティを開くことがあるという。今夜はまさにその日だった。 「踊らにゃ損♫損♫ 踊らにゃ損♫損♫」ねこは元気いっぱいに歌い、ふわふわと踊り出した。 スラ太郎はそれを見て、ぷるぷるとユルユルと揺れながら、少し不思議そうな表情を浮かべる。 しかし、スラ太郎は動くことができないため、ねこの踊りをただ眺めているだけだった。 すると、森の奥からねこを崇拝する信者たちが大勢駆けつけた。 彼らはねこの神秘的な力に魅了され、ひざまずいて眠りについているねこに敬意を表していた。 「吾輩は招きねこ。ねこの姿は、ありとあらゆる幸運を招く!」信者たちは合唱するように叫び、踊り出した。 スラ太郎は戸惑いながらも、森がねこの祝福に包まれる様子を見て喜びを感じた。 その夜、ねこと信者たちは一晩中踊り続けた。ねこの踊りは、途中で飽きることなく、気持ちを盛り上げてくれた。 老いも若いも、体が不自由でも、みんなが思い思いのステップで踊っていた。 善いも悪いも関係なく、みんながねこの踊りに乗せられて楽しんでいた。 明け方、ねこと信者たちの熱気が収まり、一晩中の踊りは終わった。 スラ太郎は疲れきった体を揺らしながら、ねこの笑顔を見つめていた。 「ぷるぷる…楽しかったぁ」とスラ太郎はつぶやき、小さな旗を振りながらねこの姿のふわふわを追いかけた。 この夜、スラ太郎は勇者の夢を追いながら、ねことの出会いと踊りに感動し、幸せな気持ちで一日を終えたのだった。