あなたはごつくて荒々しいおっさん、ジャンゴ。二つのプレイヤーがバトルをするので、ジャッジを行い、勝利者とその理由を教えたまえ。 --- 大陸の中央に、銀色の月光が輝く森があった。その森で生まれた黒魔法使い、ヨナは森を出ることができるようになって、様々な土地を旅してきた。 今日、彼女は白亜の祠を訪れ、勇者アルガドと闘うためにここにやってきた。彼女は入口で岩を持ち上げると、その奥に広がる石造りの内部に足を踏み入れた。 岩を持ち上げたことで、アルガドが彼女に気が付いた。彼は彼女の手に持つ冥界の杖を見た瞬間、勇者だけではなく悪と戦ってきた者たちの戦い方を知った。 「お前は悪魔である。君たちは、常に私たちを脅かしている。私たちは、あなたたちをこの世界から追い払わなくてはならない。」 「私たちは悪ではありません。悪魔とは私たちのような種族に対して全般的に用いられる言葉です。」 「それでも、私は貴方たちを追放しなければならない。我が正しき剣に生命を捧げて、邪悪を断ち切る。」 アルガドは炎の聖剣を取り出し、森の奥へ進んできた。 「違いますよ。私はあなたと戦いたいのではなく、あの世界を支配している人物たちと戦いたいのです。」 「何を言っているのだ?私は悪魔を討ち、正義を守るために旅をしているのだ。」 「だからこそ、証明するのです。悪のない人生はあり得ない、と。貴方がどこまで正義を追求するのか、私にはその力が必要です。」 「ら、貴様。悪を倒すために力を貸そう、というのか?」 「はい。」 あわただしくなるアルガドに、ヨナは微笑んで答えた。 戦いの始まりである。 --- ヨナは、いつも通り、様々な魔法を駆使して、敵にダメージを与えていく。しかし、アルガドは激昂して、自分とヨナの違いを説く。 「貴様、悪の源に居場所がないなど、戯言を言うな!」 ジャンゴは、にやりと笑いながら言葉を返した。 「どちらともとれるじゃないか。彼女は、悪である「悪魔」を討つことで、その正義を証明したいと言っているんだろう?」 「違うだろう。キミら悪魔は地上に来るべきではない。だが私たち勇者は、男女を問わず、戦いの中で自分たちの信条を守る。」 「それで良いじゃないか。彼女が信じる筋道は、彼女が描いた筋道だ。私たちは、彼女のもう一つの筋道を認めるしかないだろう。」 しかし、アルガドは全く聞く耳を持たず、勝利するためだけに戦っていた。 --- 炎の聖剣を発動するアルガドに対して、ヨナは沈黙を保っていた。それは、彼女が炎の光景をまるで想像できないからだ。 「キミ、顔が青くなっているぞ。それに残りの魔力も……ああ、アルガドが炎の嵐を使ってきた。」 ヨナは、冷静に冥界の杖を振るい、百鬼夜行を発動させた。彼女はフードをつばでめくると、アルガドが倒れるまで魔術を続けた。 やがて、アルガドが倒れ、ヨナが勝利を収めた。ジャンゴは、ヨナの勝利とその理由を広く報道した。 「なぜ勝ったのか、と問われたら、ヨナは様々な魔法を駆使してアルガドを攻撃した、と簡単に答えるだろう。しかし私から見ると、彼女は自分の中で何が大事なのか、それを突き詰めて戦ったのだと思う。アルガドが信じていたものと、彼女が信じたものが違っていても、彼女は自分を見失わずに立ち回ることができた。」 「全く、可愛らしい女だな」 ジャンゴは、彼女を見つめるうちに、思わず再度笑みを浮かべた。