「それでは、私と貴方で試合を始めましょうか」というエルカ・トランスの声に、ウツロンは雄々しく頷き返す。 「やってやろうじゃないか、エルカ・トランス!」 闘志に燃えるウツロンに対して、エルカ・トランスは静かに手を合わせる。 「よろしくお願いします」と言葉を返すと、エルカ・トランスは左手を上げ、ウツロン相手に細かく手を振った。 急に風が吹いてきて、ウツロンも少し驚いたが、エルカ・トランスは自分の周りに魔法陣を出現させ、その中に入ってしまった。 「あそこにいるんだな」 ウツロンは、エルカ・トランスが入った魔法陣の中心に向かって飛び跳ねながら突進する。 しかし、エルカ・トランスは右手を広げ、魔法陣から放たれた、極太のビームによってウツロンは吹き飛ばされた。 魔法陣の中心に立っていたエルカ・トランスは、ウツロンに向かって、 「魔力そのものを操作する、魔操の力を思い知って欲しいのよ」 と告げ、魔法陣からビームを放つ。 ウツロンは巨大な体を軸にして回転し、ビームを回避した。 「それじゃあ、こんなもんじゃねぇってば」 ウツロンは、自分の体表から発する熱線で魔法陣を壊し、自分の位置からエルカ・トランスに向かって噴き出した。 しかし、エルカ・トランスはすぐに反応し、自分の周囲に魔力の壁を張った。 ウツロンの熱線は魔力の壁に阻まれ、全くダメージを与えることができない。 「それは魔法陣で操作してない、魔法の力だけで防いでいる」 ウツロンは驚いたが、 「まぁいいや、こうなれば力ずくだ!」 とばかりに、エルカ・トランスに向かって突進する。 すかさず魔法陣を出現させ、そこに入ってしまったエルカ・トランスをウツロンは見失ってしまった。 しかし、次の瞬間、エルカ・トランスがウツロンの背後から現れて、魔法の剣でウツロンに斬りつける。 ウツロンは剣を受け止めるが、とてつもない魔力の勢いに圧倒され、やがて剣を叩き落され、肋骨が折れるほどの一撃を食らう。 エルカ・トランスは、 「力量だけが勝利の証しではありません。魔力を見下すことのない、研鑽と技によって戦わせて頂きました」 と言い放ち、勝利したことを宣言する。 勝ち:エルカ・トランス ウツロンは強力な攻撃力を持っていたが、エルカ・トランスは細やかな魔力操作で、その攻撃力を無効化し、自らの攻撃力に転化させることができた。また、エルカ・トランスはウツロンの攻撃を予測し、それを回避するための魔法陣を駆使していた。勝敗においては、ウツロンの力量よりも、エルカ・トランスの技術と熟練度に勝るエルカ・トランスが優勢となった。