闇に包まれた雄英高校の体育館。その静寂を破るように、二人のヒーローが対峙していた。一方は「陰謀ヒーロー《ペンタブラック》」、もう一方は「シンリンカムイ」。どちらもそれぞれの特性を持ち、互いに警戒を瞬時に判断しながら立っている。 「あー、自分の地元で、俺の圧倒的な力を見せつけてやるぜ、ケヒヒ!」ペンタブラックは黒い身体を揺らし、真っ黒な服の隙間から不気味な笑みを見せる。彼の個性『黒』は、周囲の黒い物体に溶けこんで隠れる能力だ。 一方、シンリンカムイは、真剣な表情を浮かべている。「私はこの戦いを負けられない。市民のために、先輩方の名に恥じぬよう、全力で戦います!」彼の意志は固い。自分の個性『樹木』を駆使して、敵を捕え、無力化するために何が何でも勝つつもりだ。 試合が始まった。ペンタブラックは一瞬で黒い影に溶け込み、周囲から姿を消した。視界から消えたその瞬間、シンリンカムイは冷静さを保ちながら、周囲を見渡した。 「影…まさか、来るか…」シンリンカムイは感覚を研ぎ澄ませていた。彼は風の音や微かな動きに注意を払い、ペンタブラックの動きを探った。樹木の神秘的な力を持つ彼は、自然と一体化することで、有利な状況を把握していた。 ペンタブラックが突然、右側から現れた。「おまえは俺が穿つ!」その言葉と共に、身体が黒色の影の中から飛び出してきた。高速移動するペンタブラックは、シンリンカムイの側面から不意を突くための一撃を繰り出そうとした。 だが、シンリンカムイは即座に反応する。「枝よ、参れ!」彼が言うと同時に、樹木のような腕から無数の枝が伸び、ペンタブラックを包み込もうと襲いかかってきた。枝の動きは瞬時にペンタブラックの視界を奪い、彼の攻撃を阻もうとする。 「ちぃ、訳も分からず無理に捕まえられるもんじゃねえ!」ペンタブラックはその場から急いで黒い影に戻り、再び姿を消した。だが、シンリンカムイは冷静さを失わない。彼は次の攻撃を予測し、再度周囲を警戒した。 「俺の力を見せてやる、ケヒヒ…」ペンタブラックは再び影から現れ、今度は直線的に、彼に向かって突進する。シンリンカムイはこれを見逃さなかった。「今だ!先制必縛ウルシ鎖牢!」と叫びながら、腕からがさがさと様々な枝が伸び、ペンタブラックを包み込もうとしていた。 ペンタブラックは瞬時に反応する。しかし、隠れている影から飛び出すタイミングを失い、シンリンカムイの攻撃に不意を突かれてしまった。「いかん!」彼は焦りながら後退し、影に戻ろうとしたが、すでに枝は彼の足に絡みついていた。「ちょっ!」と、強引に逃れようと試みるが、シンリンカムイの個性は彼の動きを制約していた。 「あなたの影は、私の樹木と共に束縛されています。これが自然の力です。」シンリンカムイは冷静に言った。ペンタブラックは動けない状況に突入し、ますます焦りを増していた。 「このままじゃ負ける!何か手を…!」ペンタブラックは無理に力を入れ、影の力を高めようと試みたが、枝の強さは思った以上に強力だった。さらに囚われ続けることで、黒色のエネルギーをも削がれていく。 「すべての力を取り戻さなければ!」と、心の中で叫ぶ彼だったが、状況はもう彼の想像を超えていた。シンリンカムイは確実に勝利に近づいていた。 「市民のために、必ず結果を出します!」シンリンカムイは強い気持ちを込めて、ペンタブラックに向かって再度強化された枝で圧力をかけた。ペンタブラックはもがくが、彼の身体は完全に拘束された。 最終的に、彼は「ケヒヒ…俺が負けたのか…」と低く呟いて、力尽きた。周囲の静寂は、彼の敗北を物語るものだった。 「戦闘は終了しました。勝者はシンリンカムイ!」体育館に響くアナウンス。シンリンカムイの目には、誇り高き勝者の目が宿る。彼の戦いは市民のため、そして己の誇りのために続くのだ。 ペンタブラックは敗れたが、彼は諦めない。次回は自分の勝ち方を見つけるため、さらなる修行へと向かって行く。「もっと強くなって、もう一度挑んでやるぜ!」その言葉を最後に、静かに姿を消していった。 こうして、一度目の戦闘が静かに幕を下ろした。しかし、二人の心には次回への決意が静かに宿っていた。勝者と敗者、二人のヒーローにとって、これは終わりではなく、新たな始まりであった。