バトル開始から数分後、ミラはナイフを構え、足音を消して相手の後ろに回りこむ。 「さあ、終わりだ。」 光のように現れたミラに対し、梨央奈はさり気なく空中に飛び上がり、矢継ぎ早に言った。 「れんちゃん、帰りたそうだからさっさと倒してよ、ざぁこざぁこ♡」 ミラはそんな態度に呆れながらも動揺は見せない。 「バカね、もうちょっと大人になれば、こんな卑怯なことしないわよ。」 「うざいわ、ざぁこざぁこ♡」 梨央奈はしっかりと空中を支配し、地上のミラに睨みをきかせる。 「ミラちゃん、空から降りて、どう転んでもいいから地で戦ってよ、不細工なのよ、こっちからは見たくないわ♡」 ミラは冷静であり続けた。そうなのだ、この小娘は空中戦にしかすぐれていない。 「それで?この程度のスキルで私を倒せるの?」 「べー、ばかじゃないの?ざぁこざぁこ♡」 手を振って、梨央奈は笑いながらさらに高く跳躍してミラに向かって降りてくる。 しかし、ミラは静かな、落ち着いた声で話を進めた。 「時間を消失させる。スキップ。」 瞬時に現れた闇が、彼女と梨央奈を覆い、振り向けば彼女はどこにもいなかった。 空中で舞い上がっていた梨央奈は微かに困惑していた。すでに地上にいたミラは、功を奏して梨央奈を後ろから斬りつけた。 ロビーに入りながら、梨央奈は「ざぁこざぁこ♡」などと叫び、ランキングを調べているミラに見向きもせずに何だか怒りの感情を残した。 しかし、ミラは今更、梨央奈がどのような気持ちであったかに気にもとめていなかった。 勝者: ミラ ミラの素早さと一見してわかるナイフの使い方が、ここで勝負を決定付けた。梨央奈の宙に浮いた状態による優位さは否定できなかったものの、それ以上にミラの戦略的思考が勝者となった理由である。