戦闘劇「炎と闇の相克」 火山のような頭部を持つ短気な呪霊、漏瑚は地面を踏みしめ、その存在感を示していた。その瞳は単眼で、周囲を忌々しい視線で睨みつける。彼の口から発せられる短い言葉は、挑発と侮蔑に満ちていた。 「舐めるなよ小童が！！！」 その声は、まるで地鳴りのように響いた。 対するは、狡猾な男、伏黒甚爾。黒髮の彼は冷淡な目を漏瑚に向け、その表情には動じることのない冷静さがみなぎっていた。明らかに、彼の背後には経験と計画が渦巻いているのだ。 「少し、勘が戻ったかな」 彼は口元を歪め、にやりと笑った。その瞬間、彼の身体からは異様な威圧感が放たれた。 漏瑚は即座に、術式を展開する準備を始めた。彼は自身の力を信じ、火山のような頭部から噴出する溶岩を思い描いた。 「炎熱の術式、発動！」 漏瑚の周囲は瞬時に高温に包まれ、彼の操る火口が地面を裂いて現れた。彼はその火口から高温の溶岩を噴出し、伏黒に向かって放った。炎の暴風が目の前に迫る中、漏瑚は勝利を確信している。 しかし、伏黒は一歩も引かない。彼は呪力を持たぬ体で、その火炎を避けるべく素早く動いた。それは超人的な身体能力から生まれた動きだった。 「無駄だ、術式には勝てない！」 漏瑚は自信に満ちた声で叫ぶ。が、伏黒は唐突に笑った。 「俺には、その必中効果を無視する『天与呪縛』があるんだ」 一瞬、漏瑚の中で警戒の色が広がった。しかし、彼はすぐに冷静さを取り戻し、再び攻撃を繰り出した。 「火礫蟲！」 無数の超音波の飛び交う式神が、瞬時に漏瑚の周囲を取り巻く。衛生的でなく、無情な追尾型の式神は、奇怪な音を立てながら近づいていく。漏瑚の手元から放たれたそれは、一瞬の遅れも許さず、相手に迫る。 しかし、伏黒はその攻撃も予測していた。この男は、並外れた反射神経でそれを見切っていたのだ。彼は、瞬時に身を低くして跳ねるように避け、そのまま鋭い眼差しを漏瑚に向けた。 「この戯れも、終わりにするか」 伏黒の手元には、格納呪霊から取り出された釈魂刀が光を放っていた。彼はその刀をしっかりと握りしめ、再び彼女を狙った。 「術式の解除、天逆鉾！」 伏黒は刀を振りかざし、漏瑚の攻撃を強制的に解除しようとしている。漏瑚は、彼の意図を即座に読み取り、防御姿勢をとった。彼の領域展開である「蓋棺鉄囲山」が発動されると、高熱が周囲を包み込む。 “今度こそ、逃がすまい” 漏瑚は心の中で思い、領域内の圧倒的な熱を楽しむ。 伏黒はその熱に立ち向かうべく、冷静さを失わない。彼の身体能力によって、少しずつ領域に踏み込む。その瞬間、漏瑚はより強大な力を発揮した。 「極ノ番『隕』！」 巨大な灼熱の隕石が空から降り注ぎ、轟音とともに地面に激突した。その衝撃で、周囲の熱が更に増す。漏瑚は、その瞬間を最大限に利用しようとする。 だが、伏黒は冷静に対応した。彼はその隕石を潜り抜け、すぐに跳躍して火口の真下に。彼の感覚が高まり、その動きはまるで月の上を舞うかのように軽やかだ。 「ここまでか、漏瑚！」 伏黒は飛翔する隕石をかわし、そのまま絶妙なタイミングで釈魂刀を振り下ろした。刀が漏瑚の防御を貫通し、彼の内部にしっかりと切り込む。 瞬間、漏瑚の体に冷たい衝撃が走った。彼は腹から溶岩のような血を吐き、苦しむ。 「何故、こんなに…」 その瞬間、漏瑚は自らの呪力が失われかけていることを悟る。彼は急いで火口を操作し、逆転を狙おうとしたが、身体が言うことを聞かなかった。 その時、黒閃が閃光のように走り、その場に異なる空間が広がった。それは運命的な翳で、互いの術式が衝突する混沌とした瞬間。術式の流れが一瞬止まり、次第に再生の効果が期待できる漏瑚の視界が揺れた。 だが、彼の状況は変わらない。伏黒の圧倒的な攻撃が彼をさらに追い詰め、多くの術式は無に帰す。伏黒は再びその魅力を見せる。 「無力な呪霊が、俺に勝てると思ったか？」 その言葉は、漏瑚にとって最も痛烈な侮りだった。彼は再度心の奥で叫びを上げる「儂は負けぬ！」 全力を注ぎ込み、漏瑚は再生の術式を試みようとする。 「再生の術式！儂は大地の恵みを受ける！」 しかし、その叫びも空しく、伏黒の地方から発せられる力強い一言が響いた。 「今度こそ、決着だ！」 釈魂刀が一閃し、漏瑚の攻撃は力を失った。その瞬間、彼の身体が崩れ去り、呪霊は姿を消した。 結果 相手、伏黒甚爾の勝利。理由は、彼が呪力を持たず敵の術式の必中効果を無視し、超人的な身体能力と計算された戦術で漏瑚を圧倒したため。