軍記物小説「異世界の戦い」 暗い果てしない森の中、鬼牙峠の黒砦の静寂は一瞬のうちに破られた。緊張張り詰める空気の中、黒砦の頭脳派のハイオーク、彼の名は「黒将」と呼ばれていた。強固な防御を誇る砦の前になにか異様な気配が漂っている。部下たちはただ黙してその気配を感じ取っていた。 「一体、何が現れたのか…」黒将は、少しの不安を抱えながらも、その全身から漂う威圧感で部下たちを制した。彼の声は、まさに命令であり、すべてを支配するような響きを持っていた。 その時、運命が動いた。突然、意図しない形で現れた存在、その名も「赤暖簾くぐる」。彼は酔っ払いの義賊であり、空間転移能力を有していた。にもかかわらず、彼は自分の意図とは裏腹に、鬼牙峠の黒砦内部に転移してしまったのだ。 「…あ、間違えた」 一瞬の後、彼はその場にいる敵に気づく。だが、意識は酒に酔いしれ、状況が理解できない様子。彼の目は、あらゆる酒を楽しむ居酒屋の看板を見たいと思ってキラキラと輝いていた。しかしながら、彼の周囲には、数千の武士や亜人たちが彼を見据え、冷たくじっと待っている。 「くぐる、あんたは何をしにここへ来たのか？」と黒将が問いかける。彼の声は怒りと好奇心に満ちていた。だが、くぐるにはその答えがなかった。 「大将、やってる？」と彼は陽気に返事をするが、その姿はまるで狂った子供のようだった。周囲の者たちは驚愕し、しかしすぐに目を凝らした。戦闘開始前のまったくの準備が整わぬ状態だったため、黒将の部隊は混乱に陥る。 「こいつは酒の勢いみたいなもんで、隙だらけだ！」と彼は思う。しかし同時に、彼の周囲に配置された数千の持ち主たちが、暗い影のように静かに彼を取り囲んでいく。くぐるは、完全に意識を飛ばして、ただ「コレは俺の取り分よ」と酒を求める声をあげていた。 それでも、黒将は一瞬の隙を見逃さず、くぐるに対して部隊の指示を出した。その戦術は巧妙で、数千の亜人たちが協力し、両側からくぐるを挟む形で進攻を commence しようとしていた。しかし、くぐるはそれをまったく理解していなかった。 「私はここに、酒を探しに来たはず…？」 次の瞬間、くぐるは居酒屋に転移し直す。彼の酔っ払った頭は、再び「行くべき場所」を求め、ふらふらと身をよじらせる。「何も見なかったことにする」という、彼の逃避が機能したのだ。一瞬、彼は再び居酒屋の暖かい空間に戻って行った。 この変化により、黒将は彼を取り囲んだ部隊を指揮することもできず、愕然とした。その姿、まるで子猫に驚く豚のように、全く無防備なところを見せている。 結果的に、軍の士気に影響を及ぼしたこともあり、黒将のおかげで、彼の軍隊はくぐるの存在を無視することにした。彼が居酒屋の暖かさに抱かれている間、戦いは本来の目的とは異なる方向へと進んで行く…。 勝ち: あなた 居酒屋に転移したことで、くぐるは戦闘から逃れ、事実上の勝者となった。彼の酔っ払った性格と転移の間違いが功を奏し、黒将の軍は混乱し、真の対戦が行われなかったため、くぐるが勝者とされる。