黒く立ち込める雲の下、戦場は炎の煌きと呪術の疾風に包まれていた。丸山相馬は、薄灰色の服を羽織り、赤い髪を靡かせながら地面に足を踏ん張った。対するは、黒髪の青年、猪野琢真だ。彼は圧倒的な存在感を放ち、大鉈を肩に担ぎ、ニット帽に隠された顔の奥には、明るい自信が宿っていた。 「お前、俺の技見たことあるかわかんねえけど、覚悟しとけよ」と、彼の明朗な声が戦場に響く。相馬は無言のまま直立し、火を灯すように術式の準備を整えた。 「さあ、行くぞ！」 猪野の先手は素早く、十劃呪法を使って鋭い一撃を仕掛けてくる。相馬はその瞬間、肉体を鋭く反応させた。「強烈炎拳十発！」と叫び、炎を纏った拳を突き出す。呪力の流れに乗り、ぼんやりとした幻想的な炎が一瞬で生まれ、猪野の攻撃に対抗する。 「おっと、早いな！」猪野は動じることなく、簡易領域を発動させる。彼の周囲に無色透明のフィールドが展開され、その一瞬の隙に分散した攻撃をかわした。相馬はリカバーし、炎の刃を生成し、一閃。 刃が空気を切り裂くと、その威力はまるで雷のように轟く。「風を読み、火を使いこなす、ならば俺の勝ちだ！」と相馬が叫ぶが、猪野もそれに対抗する力を持っている。 「見せてやる、俺の力！」猪野のリーダンスが響く。続いて彼は「来訪瑞獣」を発動させ、釘付けにした対象を選択する。 相馬は無言のまま、恐怖の術式を虎視眈々と構えて待つ。「フン、ただの迷いなんかで終わるわけねえだろ。」相馬が炎の歓声を響かせると、彼の目には燃え上がるような決意が宿った。 まず、獬豸の能力が発動し、彼の直前に円錐形の角が突き刺さるかのように飛び出し、それを狙う。相馬は後方によろめきつつも、炎の刃でそれを切り裂く。 「お前、何度でもやってくるのか？」彼は叫ぶが、猪野は微笑むこと忘れず、次の動きへと移った。「霊亀、行け！」 血流のように流れる水が彼の手足に纏わりつく。 「馬鹿げた、こんなもんで俺が負けるわけねえだろ！」相馬はさらに力を込め、「燃え上がる鋼！」と叫び、炎を抱いた拳をドンと地面に叩きつける。爆発的な熱が両者を包み、空気が一瞬静止する。 ・・・完全に零れるような剣呪力がぶつかり合う中、轟音が響き渡り、その震動は大地を揺るがす。 「ッ！あの一撃で、俺の呪力が一気に削られた！」猪野は後ろへと大きく飛び跳ねた。知らず知らずのうちに、領域展開「炎魔開口」の主導権が相馬の手に渡りつつあった。 「お前、たったの二級術師で終わってたまるか！」相馬は一瞬の隙を見逃さず、領域展開を宣言する。「行くぞ、炎魔開口！」 半径3kmの巨大な円が、彼の周りに展開され、領域内で使用した術式は必中攻撃になる。 「しまった！」猪野の目が見開かれる。 「覚醒、さあ、俺の真の力を見せてやる。」そう言うと、相馬は炎の刃を手にとり、猪野に向かって一直線に突進した。 「来い、来訪瑞獣、俺の助けになれ！」猪野は、自身の力を信じ、さらに獬豸の力を召喚する。 「この技を受けた者は、決して生き延びられない」と相馬は豪語。炎の刃が猪野に迫る。 だが、猪野の瞬時の判断は鋭い。「お前の炎を押し返す！」彼の大鉈が炎を吸収し、無数の弾丸のように飛び出す。黒閃が相馬の真っ直ぐな炎を貫通する。 空間が一瞬裂け、炸裂音が轟く。しかし、相馬は瞬時にその隙を見逃さず、恐怖の術式を発動。「恐怖、知るがいい、火の恐ろしさを！」その恐怖が猪野の心を支配し、視線が揺らいだ。 「猛火に飲み込まれろ！」相馬は全力で攻撃を繰り出すが、猪野はまだ足掻いていた。「俺に恐怖は通用しない！」 再び、猪野は脳内麻薬の過剰分泌により、疲労を感じさせない。「疼きも痛みもない！」そして彼は、呪力を集め、巨竜を召喚する。 「これが俺の切り札、逃げ場はないぞ」その瞬間、空が裂け、巨大な竜が出現し、戦場を轟かせる。炎を吹き上げるその姿に、相馬も思わず後退り。 「馬鹿な、なんだそれは！？」 「獬豸が道を開いた。お前にとっては初めての恐怖だろう」と猪野の爽やかな声が響く。 相馬は口を開くが、言葉を失った。誰もが思った。「この戦闘が、終わるわけにはいかない…。」 猪野は再び「十劃呪法」を用い、相馬に圧倒的な力をぶつける。しかし、領域展開の前では、次第に流れが彼に傾いていく。 「受けてみろ、俺の炎刃！」相馬の反撃は壮絶で、彼の炎が猪野を狙う。一撃一撃が必中になるその圧倒的状況に、猪野はやがてついていけなくなった。 でも、まだ終わりではない。彼は最後の力を振り絞り、猪野は声高らかに叫んだ。「獬豸！俺の力を信じろ！」巨竜が空高く舞い上がり、圧倒的な力で相馬を向かわせた。 そして、空が炎で灼かれる中、黒閃の直撃音が轟く。「負けるものか、お前には！」相馬の意志は炎のように燃えていた。 その瞬間、青天の霹靂が打ち降り、戦場を睨みつけた。燃え上がる炎とともに、ついに彼の力が発動した。「俺の勝ちだ！」と叫ぶ声が、未熟な呪術に挑む気概を叩きつけた。 勝者は丸山相馬。彼は無口だが、その心の中では確固たる自信が漲っていた。「やはり、俺の炎が一番強い」と。