契約の瞬間 魔女のオーリスは、ふわふわの白い髪を揺らしながら、星空を見上げていた。瞬間、彼女の内に秘めた願いが浮かび上がる。 「もっと、不思議なことがしたい!」…あたしは魔女になりたい! その瞬間、白い猫、キュゥべえが彼女の前に現れた。彼の目は冷たくも美しい。しかし、オーリスは無邪気さを崩さず、期待に満ちていた。 「契約する?」とキュゥべえは声をかける。オーリスは微笑み、力強く頷いた。 「うん!あたしは魔女!ワンダーランドを作るの!」 「それでは、約束だね。」 契約はあっという間に終わり、オーリスは特異な力を手に入れた。 鏡の迷路 月日が流れ、オーリスは力強い魔女として、数々の不思議な冒険を繰り広げていた。ある日、彼女は不安の影が心に走る。自分のソウルジェムが次第に濁っている気がするのだ。それは、彼女が見落としていた現実の影だった。 「そうだ、オーリス。魔法少女の契約は、ただのゲームじゃないんだ。」 その言葉を裏打ちする存在、インキュベーターが目の前に現れた。彼の目は冷静で無感情、しかしその一言は、オーリスの心に強く響いた。 「あなたが何を言いたいの?」とオーリスは無邪気さを保ちながら問いかけた。 「キミがいたるところで引き起こしている『ワンダーランド』は楽しそうだね。でも、キミのソウルジェムの濁りは、きっと無視できない事実だよ。」 彼女は不安に駆られた。「それでも、私には魔法があるから!」と強がる。しかし、彼の一言が全てを覆す。 「魔女になることは、同時に誰かを倒さねばならないということを、キミは理解していたのかな?」 問い詰める心 オーリスの思いは大きく揺れ動いた。彼女はいつも無邪気でありたいと願っていた。しかし、目の前にいるインキュベーターは、冷たくも確かな現実を突きつけてきた。 「ねえ、キュゥべえ。私、何を見落としてたの?」と彼女は尋ねる。 「もちろん、キミが自分がなった魔女を倒さない限り、ソウルジェムは濁り続けるということだ。」 彼女の目が広がった。「つまり、私は誰かを傷つけなきゃならないの?」 「そうだよ。魔女としての存在は、他の魔女を倒すことに価値がある。キミはそれを理解したくなかったのだろう。」 オーリスの心に不安が広がる。無邪気さが好奇心に変わる。「でも、私は友達が欲しかっただけ…!」 インキュベーターは静かに答えた。「友達を作ることは構わない。ただ、魔女として生きる以上、厳しい選択を迫られることもある。」 友達への願い 彼女は考えに沈んだ。無邪気に楽しむことだけが全てではなかった。友達はどうすれば手に入るのだろうか。心のどこかで「友達でいたい」と叫ぶ思いがあると、オーリスは感じた。 「でも、私は誰も傷つけたくない」とつぶやく。 「理解していると思うけれど、好奇心は止まらない。キミの魔法は空間を操る。では、どうするつもり?」 オーリスは一瞬、ほのかに笑った。「だったら、せっかくだから、私のワンダーランドに招待する!」 「面白い考えだね、やりたいことをしなさい。ただ、その代償が何かは理解しておいてね。」 オーリスは無邪気に笑顔を向けた。「あたしのワンダーランドは最高に楽しいよ!さあ、一緒に遊びましょう!」 しかし、彼女の心の奥では、締め付けられるような恐怖が広がり始めた。遊びのルールを忘れたくない、でもその裏には、現実が広がっている。 あなたの末路 時間が経つにつれ、オーリスは心の葛藤と向き合うことになる。遊びだけに浸ることができるはずがない現実に。 結局、彼女は他の魔女を見かけなかった。誰もが自らの魔力を求めて、引き裂かれる日々。彼女もまたその一員になることが、逃れられない運命となる。 「私は…永遠に無邪気でいたいのに。」彼女は最後の瞬間、心の中で呟くと、無邪気さの象徴であるワンダーランドが彼女を迎え入れた。 逃げられない、不自由な世界。それでも夢見たワンダーランドは存在した。しかし、その代償として、彼女の魔女としての運命は、淀んでしまった。 「どうして、こうなっちゃったの…?」と最後まで問うたが、答えは得られなかった。 それがオーリスの最後の声だった。