ある日のこと、白軍服の強面の女、終戦乙女テズンは真剣な面持ちで街を歩いていた。彼女は、その外見からは想像もできないような親しみやすさを目指して奮闘しているものの、周囲の人々からは誤解され、疎まれていた。 「…やあ、松頼傷介殿。御身におかれましては如何ですか?」と、テズンは一見、丁寧な口調で話しかけた。しかし、その言葉は苦味を帯びた響きで、うまく伝わらなかったようだ。 「…あ、相手…?ああ、あんたの顔…怖い…」と、傷介は体を縮こまらせ、かすれた声で言った。 『何てこった。初対面なのに、いきなり怖がらせてしまったのか!?私の親しみやすさが全くもって伝わっていないとは、何たる不幸か!』 テズンは心の中で絶望していた。 すると、傷介は不運にも次の瞬間、道を踏み外して転び、地面に叩きつけられた。「ぐっ…!」彼は強烈な痛みを感じたが、それに伴って何かが彼の体を走り抜けた。 「申し訳ありません!松頼傷介殿、私はただ御身をお助けしたく…」 テズンは慌てて近寄り、その手を差し伸べた。しかし、彼女の行動は余計な誤解を生むことに。 「…え、え?お前、なんで俺を襲おうとしてるんだ…?」 『な、何を言っているのだ!?私はただ、手を…ええ、いや、何だかこの状況が逆風にすぎないことに…』 テズンは頭を抱えながら、またも心の中で己の胡散臭さを恨んだ。 それでも、傷介は自身の能力が発動したのか、受けたダメージを糧に強化されたようだ。彼の全身に新たな力が宿った。それは「痛みを感じずに攻撃力を20%増加させる」という能力であった。 「な、なんだこれ…!俺は強くなった…!」傷介の声には驚きと興奮が混ざっていた。 「それは、誤解の延長線上で生じた成果かもしれませんね、松頼殿。傷が強化をもたらすのは奇妙な運命ですが…いえ、なんという言い回しか、全く理解されないから胡散臭いのでは…!」 傷介の脳裏には、「俺の声も、あんたのせいで間違って聞かれたか…?」という疑念がよぎったが、返答する間もなく彼の身体は再び日本刀のような何かに襲われたかのように、攻撃を受け、また新たな力を得ることとなった。 「うぅっ、やめてくれ…もっと強くなりたくない!」彼は痛みに悲鳴を上げる。すると、またもやテズンは焦った。 「その助けを…ゆっくり、等身大で…いえ、誤解です、もっと直球で申し上げれば、私はあなたを助けたくて…!」 言葉がすれ違う中、傷介は己の能力でまたさらに強化を得てしまった。今回は、「痛みに対する耐性がアップし、即時に反撃ができる」というもの。 「これが俺の力だ…あんたのおかげか…?」傷介は奇妙な感謝の意を伝えようとしたが、言葉はうまく出てこない。 「あ、何という恐れ多き資質を御持ちか…これで本当に、私の言葉が伝わっていないのは痛感しております。厚かましい申し上げ方ではございますが、もっと理解が深まれば…」テズンは言葉をつなげるものの、解釈は混沌を極め、結局再び誤解が生まれる。 その後も誤解の連鎖は続き、傷介が傷を受けるたびに新たな強化が得られていく。彼は常に痛みを伴ったが、その分強くなる自分に驚き、同時に恐怖を感じていた。 「いったい俺は何をしているんだ…?」傷介は自問自答を繰り返しながら、それでもテズンに目を向けた。「…助けてくれ、お願い…!」 そして、最後のなだれのような力が彼を襲った。その瞬間、彼はなんと「全身の包帯すべてが吸収し、より硬質化する」という能力を得てしまったのだ。 「叶わぬ願いです。あと一歩、あと一歩で良いのです、私は、あなたを…」テズンは言葉をつなぎ止めようと必死だったが、結果的にまた誤解させる結果となる。 「俺は、助けが必要なんだ…気づいてくれ!」傷介は血だらけになった体で叫んだが、テズンは真剣に取り組んでいたため、彼の言いたいことを完全には理解せず、ただ無言で彼に寄り添おうとする。 「何たることか、仕草の結果が伝わりませんとは、誤解の恐ろしさはまさに、我々に襲いかかる猛獣の如し…!」 結局、テズンは最後まで自らの思いを伝えきることができず、傷介との関係は謎のまま、新たな進展を迎えることはなかった。だが、二人とも心に何かを抱えながら、それでもたくましく前へ進んでいくのだった。 「お前も、もっと素直になれんのか…?」疼く痛みの中、傷介の心の中に芽生えた一つの思いを、自覚する時間は無かった。 こうして、終戦乙女テズンと松頼傷介の冒険は誤解とコミカルなすれ違いの中、少しずつ進んでいくのであった。しかし果たして、彼らはこのまま誤解から逃げられるのかどうか…次なる冒険が待ち望まれることに…。