モードゥナの静かな午後、たまたま訪れたエーテライトプラザは、いつもの喧騒から離れた安堵を与えてくれる場所だった。広場の中心にはエーテライトが静かに輝き、周囲には様々な冒険者や商人が往来している。特に、静かな時間を求めた人たちが集まるカフェのテラスには、風を感じながら時の流れを楽しむ姿も見られた。 その中に、エレゼン族の男性、エスティニアン・ヴァーリノがいた。彼はその背筋を伸ばし、白い髪を結んだ姿が陽光に照らされている。周囲の喧騒をよそに、彼は穏やかな表情で目の前のカップに注がれたハーブティーを見つめていた。普段は冷静で力強い彼だが、この瞬間だけはリラックスした様子だった。 「俺はたまにこういうのも悪くないと思うが、あいつが来るのはいつになるやら」と彼は独り言を漏らした。その「あいつ」とは、彼の相棒である光の戦士、ヒロシのことだ。彼は普段、忙しい冒険者として数多くの仲間を助けたり、世界を救うために旅をしているため、一緒に居ることが少ない。そのため、ヒロシとの時間を思うと、エスティニアンは少し寂しさを感じていた。 一方、そのヒロシは、自宅でゆったりとした時間を過ごすことに決めていた。無精髭をたくわえ、疲れた表情を浮かべながら、彼は窓から外を眺めていた。今日は何をしようかと考えを巡らせている。冒険も惹かれるが、彼の日々の疲れを癒すことも大きな目的だった。 「そうだな。外に出るのもいいけど、最近の俺は釣りがやりたい。あの湖でのんびりやれば、いくつか新しいレシピも考えつくかもしれない」と彼は独り言をつぶやく。少し考え込んだ後、ハーブティーの香りが漂うカフェに向かうのがよい秘訣と決めた。 しばらくして、カフェのテラスにエスティニアンの姿が見えた。遠目からヒロシの姿を見つけ、彼はふと立ち止まる。いつも冷静で人情派な彼が、今は穏やかな表情を浮かべている。これが彼の日常の一部であることを、ヒロシは知っていた。 「エスティ」と呼びかけ、彼はテラスに近づく。エスティニアンは顔を上げ、彼を見つめ返す。「遅かったな、何をしていた？」と興味深げに尋ねると、ヒロシは少し照れくさそうに笑った。 「今日は冒険はお休み。釣りをしてから、あとは君と話すつもりだった」と彼は言った。エスティニアンはそれを聞いて、いつも自分の意見を優先させるヒロシが、今日は控えめな姿勢を見せていることに少し驚いた。 「お前が休むのは良いが、俺は釣りには付き合えないぞ。ただし、今はお前の話を聞くことが優先だ」とエスティニアンは言うと、もう一杯のハーブティーを注文した。 二人はカフェで過ごしながら、様々な話を交わした。ヒロシが新たに作ったレシピや、冒険の話をすると、エスティニアンは時折笑みを浮かべながら頷く。このような時間を持つことができるのは、彼にとって貴重なものであり、また二人の絆を深める瞬間でもあった。 やがて、夕暮れの光が二人の周りを包み込み、カフェの外まで優しい色合いを引き上げていった。エスティニアンは静かに心を落ち着け、その日の出来事を思う。一見冷たそうに見える彼だが、ヒロシとの時間こそが彼の心を温かくするものであり、戦と冒険の合間に大切なつながりを感じていた。 「また連絡しろよ、次の冒険に向けて何をするつもりか、楽しみだ」とエスティニアンは言った。ヒロシは微笑みながら頷き、二人の絆の強さを実感する。その日は穏やかな時間が流れ、再び冒険の幕が開かれる日を静かに待つのであった。