前半：荒野の英雄、ケーテの到来 煙が立ち込める空、粗悪な布を身にまとった鉱夫たちが忙しそうに鉱石を運ぶ姿が見える。アークナードの西部の荒地、その中心には、活気あふれる鉱山集落コールセンが広がっていた。この地は、琳の果て、クールという名の魔物が君臨する山々を背景にしながら、製造所から立ち上る煙と共にのぞく空に複数の気球が浮かんでいた。 「お前、見ている場合か！」 長剣を手にした剣士カタリーナ、愛称はケーテ。彼女は街に足を踏み入れた瞬間、多忙な鍛冶師たちの目を引いた。その視線に自信のあふれる青い瞳を向け、淡々とした表情で人々を見回す。 ここはコールセン。彼女が聞いた情報によれば、近隣の山に出現した魔物たちが鉱夫たちの作業を妨げているという。それを解決させるため、彼女はこの地にやってきた。訪れた初めに感じた空気は、活気がありながらもどこか緊張感に満ちている。高鳴る金属音と、切り響く汽笛の音が混ざり合い、作業士たちの忙しさを響かせていた。 「良い度胸だ、お前たち。」 彼女は思わず漏らした言葉に対し、周りの目は釘付けとなる。女性剣士の登場に動じない者はほとんどいない。粗野な服装をした鉱夫たちが、目を丸くして彼女を見つめている。やがて、鍛冶師の一人が申し出る。 「お前さん、魔物を倒しに来たのか？」 ケーテは頷くと、明確な目的を伝えた。 「山のクールを討伐するために来た。情報をくれ。」 鍛冶師は目を細め、周囲の鉱夫たちと視線を交わす。明らかな緊張がその場に漂う。彼の口が開き、そして続く。 「確かに魔物の一団がこの地区を襲っている。近くの洞窟にいると聞くが…。」 彼は言葉を打ち切り、身を引くように背を向けた。だが、ケーテの目はその沈黙の意味を読み取る。彼女は深く息を吸って体の力を入れると、決意を固めた。 その後、彼女は街の混雑を抜け、山の方向へと足を進める。荒れた道を進むにつれ、目の前に立ちはだかる木々や岩の障害物を斬り払っていく。道を頑丈な足取りで進み、彼女の筋肉質な体がその動きを支える。 しばらくして、ついに巨大な岩が行く手を阻む場所にたどり着く。そこから見える洞窟から、異様な音が響いてくる。 「あの中か…。」 彼女は意を決し、洞窟の中へと進む。次第に薄暗く冷たい空間に足を踏み入れると、彼女の耳には魔物たちのうねり声が響き渡ってきた。耳鳴りのようなそれは、戦闘を迎え入れる者に与える緊張感を煽る。 その瞬間、洞窟の奥から骨太な魔物が飛び出してきた。その姿は細面の背の高い生物で、長い爪とヒルのような柔らかさを持つ。しかし、その筋肉は非常に発達しており、パンパンにのし上がった体が凶暴な振りをする。 「来たみたいだな…！」 彼女の瞳で魔物の動きが捉えられる。目の動き、そして息遣いから、魔物の攻撃パターンを読み取る。周囲の暗闇の中で一瞬の閃きを感じ、彼女は身を構える。 後半：激闘、剣士の覚悟 魔物の動きが一瞬止まり、彼女に向かって突進してくる。ケーテはその動きを見逃さず、長剣を構えたまま冷静に待ち受ける。魔物が飛び込んでくると、その勢いに合わせて、彼女は身をかがめる。 「がああああっ！」 魔物の声が洞窟内にこだまし、その瞬間彼女は立ち上がり、撫で斬りを放つ。剣が空を切り、重圧を伴う一撃が魔物の背に炸裂する。 「きゃああ！」 その衝撃で魔物はたじろぎ、一瞬すきができた。その間に彼女は突き立ての技を使い、魔物の横を抜けるように長剣を振る。魔物が反応しきれず、切り裂かれた。 「良い度胸だ！もっとこい！」 魔物が怒りのような声を上げ再び突進する。彼女は間合いを見極め、身体をしならせながら反応する。移動と攻撃を同時に行う技術を駆使し、彼女の動きはボルトのように速い。 身懸を発揮すると、ケーテは一気に体重を乗せた一撃を魔物に叩き込む。この一撃は、事実上彼女の全力だった。長剣が魔物の体に深く食い込み、力強い一撃が見舞われる。 「ぎぼうぅっ！」 魔物の声が悲鳴に変わり、彼女はその瞬間を逃さず、さらに攻撃を続ける。彼女の衝動が高鳴り、体が汗にぬれてくる。荒天下で鍛え上げた力が彼女を支える。 しかし、魔物も簡単に敗北するわけではない。その能力を誇示し始め、急に俊敏さを見せて襲いかかる。剣を交わされ、彼女は一時的にバランスを崩されるが、何とか持ちこたえる。 「一度でやる。」 ケーテは決意を新たにし、長剣を掲げる。技術と勇気を込め、魔物の攻撃を逆手に取る。その瞬間、魔物が再び突進してきた。 「きたか…！」 彼女は反応し、突き立ての技で攻撃する。魔物の爪が砕け、重圧が魔物を再び貫通する。彼女の目が燃えていた。次の瞬間、彼女の勢いが一気に増し、魔物の体を切り裂いた後、そのまま尻尾を持ち上げた。 「これで終わりだ！」 最後の力を振り絞り、彼女は長剣を振り下ろした。鈍い音が洞窟内に響き、魔物の体が言葉にできぬ音を上げて崩れ去る。 「終わった…。」 息を整え、彼女は魔物の残骸を見つめる。洞窟の中には静寂が戻り、唯一の音は自らの息遣いだけが響いていた。その瞬間、剣士カタリーナ、彼女は勝利を収めたことを認識する。 しばらくの間、彼女の心が満たされると、再び山を背に集落コールセンへと向かう。彼女の心の中に仕事を果たした誇りが宿り、今後の冒険に強い自信を抱く。 山を降りる道すがら、空は青空に変わり、彼女の未来を示すように輝いていた。剣士は、いつでも歩みを止めることはない。どこへでも、次の冒険を求めて進んで行くのだ。