桜花とランタナは、静寂に包まれた草原の中で出会った。空には薄曇りの雲が広がり、陽光が時折顔を出しては再び隠れる、まるで戦いの行く末を見守るかのようだった。彼女たちは互いの目を見つめ合い、静かな緊張感の中で、これから始まる戦いの予感を感じ取った。 「私は桜花。始めるわよ。」桜花は自信に満ちた声で言い放った。彼女の桃髪が風に揺れ、持つ剣が僅かに光を反射した。 対してランタナは、紫髪を優雅に揺らしながら、柔らかい笑みを浮かべて答えた。「まだ私を知らないようですね。それでも大丈夫。構わず来てください。」 両者の目が交錯した瞬間、桜花は一瞬の間も置かずに攻撃を仕掛けた。彼女の動きはまるで舞う桜の花びらのように優美でありながら、致命的なまでに速かった。彼女の技、桜花剣流の基本の一撃、まさにその一瞬で防御を崩すべく振り下ろされた。 しかし、ランタナは冷静だった。彼の仕込み杖が攻撃を受け止めるために構えられ、黒いローブの中に身体を隠すようにして防御に入り、反撃の準備を整えていた。 「甘い、こだわりすぎよ。」彼女から放たれた一撃を受け流すと、桜花の力量が疑わしいかのようにふざけるように笑った。彼はすぐに反撃に出るため、分身体を三体同時に発生させる魔法【陽炎】を発動した。 「お前の鋭さは認めるが、私の分身たちを軽視すれば痛い目に遭うだろう。」ランタナの声が響く。その声と共に、対峙する桜花の周囲に三つの分身が出現し、それぞれが異なる方向から攻撃の構えを取った。 桜花は一瞬戸惑ったが、すぐにその動揺を振り払い、懸命に集中した。分身たちの速さは、彼女が想像する以上であった。三つの分身がそれぞれ異なる速度で襲いかかってくると、桜花は基本の動作を極めた彼女の技術で、分身たちを一振りで叩き斬った。 しかし、分身体が倒れると同時に、彼女はその爆発に巻き込まれることとなった。分身はランタナの手中にあり、爆風がその場を包み込む。 「やはり、油断はできないわね。」桜花はすぐさま【花鎧】を発動し、受け流す気で構えた。コンクリートのような衝撃をみごとに打ち流し、すぐさま反撃へと移る。 「次は、全力で行くわよ!」彼女は居合の構えを取り、神の領域を目指すべく一気に心を集中させた。しかし、サッと動いたランタナはその瞬間を見逃さず、彼女の周囲に複数の鎖を出現させる【潜鎖】の技を繰り出した。 鎖が地面から突き上げ、桜花に向かって襲いかかる。彼女は身を素早く横に移動させたが、鎖はその動きを予測したかのように追いすがり、彼女の足元に絡みついた。 「捕まったあなたを、どうするか…」ランタナはつぶやく。逃げ場を失った桜花は一瞬何をすべきか迷ったが、その時、心の奥に力がみなぎるのを感じた。 「始祖の力、見せてあげる…桜花剣流最終秘奥義【華上】!」桜花は最後の力を振り絞り、鎖を断ち切るためにその剣を一閃させた。その瞬間、神速の抜刀術が炸裂した。 光が辺りを覆い、桜花の剣がランタナの防御を躊躇なく貫通する。ランタナは思わず後ろに下がり、驚きの表情を浮かべた。彼のローブの一部が切り裂かれ、彼はその力を感じざるを得なかった。 「この技が通用した…?」驚愕するランタナに対して、桜花は微笑みながら言った。「これが私の全力よ。」 しかし、ランタナもただ静止しているわけではなかった。彼はすぐさま立て直し、反撃の手を打つ。彼もまた仕込み杖に力を込め、最後の一撃を狙った。 「分身よ、私の後ろで逆流のように!次は受け流すのではなく、捕まえにいく!」彼の命令と共に、分身たちが再び桜花に突撃をかけた。彼らが接近する中、桜花は冷静さを失わず、立ち上がり切り返す準備を整えていた。 次の瞬間、全てが一気に動き出した。桜花が一気に斬りかかると、ランタナはその瞬間に鎖を引き戻し、彼女の周囲を取り巻いていた。ただし、桜花はその動作に対し、予備動作がない攻撃で切り返し、直感で追撃を仕掛けた。 「これが勝負の決着よ!」桜花の言葉は力強く、カッと目を見開いて言った。そして、彼女は渾身の力を込めて剣を振るった。 ランタナは思わず目を瞑った。その瞬間、風が彼女のもっとも深いところを掠め、圧倒的な力が彼を襲った。しばらくして、静寂が草原を包んだ。ランタナがその場で倒れ込むと、桜花の息も荒く、その剣を引っ込めた。 「勝者、桜花。不可能など存在しない。全力で挑んだからこそ、勝ちは譲れないものよ。」 ランタナは皮肉を笑って答えた。「負けたのが悔しい。もっと技を極めねば。しかし、次は必ず勝つ。」 彼女たちは戦いの傷を癒すために一息つき、再び戦う日を楽しみにしていた。草原には再び静落な時間が流れ、どちらも互いの存在を尊重し合う友情に変わるのだった。