場所は静まり返った荒野。そこに現れたのは、二体の異なる存在。エビル天然水は、その名の通り液体の姿を持ち、浮かび上がる眼球が周囲を見つめる。一方、永劫不滅の炎の魔王ミュルシュカは、銀髪をなびかせ、獣のような優美さを誇っていた。 「お主、何者じゃ?」ミュルシュカは冷静に問いかける。その大剣からは、永劫不滅の炎が激しくうねり、周囲を赤く染めていた。 「……」エビル天然水は、一言も発することはない。しかし、ミュルシュカの言葉に反応し、液体の姿がわずかに波打つ。 「無言の脅威とは、なかなかのものよ。だが、汗の一滴にだって価値はある。やってみるがよい!」ミュルシュカは大剣を高くかざし、炎の槍を生成する。 瞬時、炎の槍が発射され、空を裂く音が鳴り響く。しかし、エビル天然水はその攻撃を無効化するかのように、どこにでも浸透してしまった。ミュルシュカの攻撃はまるで無駄打ちのように消えていく。 「ふむ、どうやらお主は水の精霊なのか。だが、火の力を見せてやる!」ミュルシュカは周囲に火の海を展開し、自らの存在を際立たせる。炎の中で、彼女は自分と同じ実力の分身を作り出し、次々と敵に向かって突撃する。 ミュルシュカの分身たちは、炎を纏った刃でエビル天然水に襲いかかる。しかし水は波のように形を変え、攻撃を受け流していく。ミュルシュカは驚いて立ち止まり、状況を読み取る。 「ワシの攻撃は全て無力か。だが、時間は必ずお主を侵し、消し去る。」そう呟きながら、ミュルシュカは自身を巨大な不滅の火の鳥に変化させる。その姿は天を羽ばたく凶々しい影となり、炎の力を最大限に発揮する。 エビル天然水は、動きでミュルシュカの意を探るかのように、波の形を変えて大きくなる。そして、殺気や敵意に反応し、高圧力の水流を噴射する。 巨大な火の鳥と、波動を伴う水流が激突する。その瞬間、二つの力は空気を震わせ、両者が力をぶつけ合う姿はまるで自然の対立だ。 「この私が無力であるはずがない!」ミュルシュカは不滅の炎を全て投入し、火柱を上げ続けている。しかし、エビル天然水は全てを飲み込むかのように、その波を広げていった。 そして時間がゆっくりと流れる中、エビル天然水は周囲の水分を吸収し、ますます大きくなり、ミュルシュカの攻撃を無力化していった。それに触れた火も、次第に冷やされて消えていく。 ついに、ミュルシュカはその力を失い、空中で能力を維持できなくなった。「我が勝機は…」と言いかけたその唇が、言葉を失った。その瞬間、エビル天然水はさらに膨張し、ミュルシュカを包み込み、消し去る。 結果、エビル天然水の勝利。勝因は、彼の特異体質である「水の為、実体を捉えられない」という特性によるものであり、あらゆる攻撃がことごとく無力化されてしまったためである。ミュルシュカは全力で戦ったものの、最後には水に呑み込まれてしまった。 エビル天然水は静かにその場に存在し、闘いの余韻を感じさせる。彼は言葉を持たないが、その勝利の静けさが全てを物語っていた。