ある晴れた日の昼下がり、魔導帝国の広大な訓練場。青空を背景に白い雲が流れ、そこに二人の熟練した魔法使いが立っていた。 リュカ・スフェラ、異名『水弾の射手』として知られる彼女は、銀髪をたなびかせていた。一方、タクト・ウクラヌクスは、茶髪の男性で、指揮官としてのオーラを纏い、冷静な眼差しでリュカを見つめている。 「リュカ、今日は模擬戦だ。さあ、君の応用力を見せてくれたまえ。」タクトは、穏やかだが鋭い声で言った。 リュカは微笑みながら頷く。「もちろん。水弾のバリエーション、受けてみて!」彼女はすぐに魔法の準備に入った。 タクトは手をかざし、土の魔法を解き放つ。「『兵隊』!」小型土ゴーレムが数体、彼の周りに土の塊から形成され、指揮される。 「まずは個人戦のシミュレーションだ。これらのゴーレムが君を囲む。何とかして突破してみて。」タクトが命じると、ゴーレムたちは均等にリュカの周囲を取り囲み、徐々に近づいてくる。 「なら、まずは『流水』!」リュカは水を自在に操り、自身の周囲に薄い水の壁を作り、ゴーレムの攻撃を絡め取る。その動きは流れるようで、彼女の熟練の技術が伺える。 「面白い反応だ。だが、これだけでは終わらない!」タクトは《司令》の魔法を使い、ゴーレムたちに新たな命令を下す。「一斉に攻撃だ!」 ゴーレムたちは一斉に前進し、彼女に迫る。リュカはじっと集中し、水を圧縮して高速の弾丸を生み出す。「『水弾』、いったい何発打てるかな!」 狙いを定め、リュカは水弾を放つ。次々と命中し、ゴーレムたちが倒れていく。「水弾のバリエーションで、これが追尾弾だ!」 しかし、タクトは冷静だった。「今回は多様な戦局を考えよう。」彼はさらに魔法を唱え、「『司令』の魔法!」大きな土の司令塔を空中に立て、指示を出す。ゴーレムたちの動きが変わり、散発的に攻撃を仕掛けてくる。 リュカは明るい声で、「来なさい、全員!『流変』、『散弾』!」周りの水弾が爆発的に散っていく。リュカはその間に、迫ってくるゴーレムのうち、近くにいた一体を『流水』で絡め取り、制御する。 「今だ、リュカ、迫ってくる敵を全て捕らえろ!」タクトが叫ぶ。 リュカはゴーレムを一旦捕らえ、再び水弾を発射。「炸裂水弾!」撃ち込んだ弾を自分の体内で爆発させ、周囲の敵を吹き飛ばした。ゴーレムたちは次々に弾き飛ばされ、残る敵はわずかとなった。 タクトは彼女の技術に感心した。「驚いた。だが、戦は常に一筋縄ではいかない。今度は集団戦を試そう。」 次の瞬間、タクトが新たに土のゴーレムを召喚し、彼らは小隊でリュカに向かって進撃してきた。リュカは複数方向から攻め込まれる危機感を感じ、迷うことなく水を集める。「『流水』、全方位に防衛ラインを築く!」 どんどん攻めてくるゴーレムたち。辛うじて彼女は弾幕を張り、攻撃を受け流し、同時に自らの『水弾』で迎撃する。苦しい戦いになりつつも、リュカは次第に感覚を研ぎ澄ませていった。 そしてついに、リュカはタクトの挑戦を終え、息を整えながら言った。「どう?私の能力、少しは伝わったかしら?」 「素晴らしい応用力だ。ただ、私の指揮と戦略も油断ならないね。」タクトは微笑んだ。リュカは少し笑い、柔らかい表情になった。 戦の終息と共に、タクトはリュカを見つめながら、自身の総評を述べた。「君の得意な敵は、物理的な攻撃を重視するタイプだね。君の水を使った技術で巧みに受け流せる。しかし、苦手なのは魔法の多様な属性を操る敵。特に融合魔法を使う者には常に緊張を強いられるだろう。」 リュカは頷く。「確かに、そうね。魔法使い同士の戦闘は、まさに心理と技術の攻防だもの。」 タクトは最後に付け加えた。「君には潜在能力がある。今後も磨き続ければ、より強力な一流の魔法使いになれるよ。」 二人は互いに認め合いながら、それぞれの道を進めていく。