戦場は燃え盛る炎と、その中で冷酷な無慈悲さを漂わせる禍騎士メルタールが対峙する。彼の存在は周囲の温度を下げ、不幸と災厄をもたらすような雰囲気を纏っている。 その向かいには、炎彩の魔法使いリンカ・アルティー。彼女の銀髪は炎の中で煌めき、巨大な筆を手に持ちながら、精緻に描かれた炎の絵が彼女の後ろに浮かんでいる。 「炎の本質は美よ。それを見せてあげる。」彼女の口から洩れた言葉は、意気込みの証でもあり、その背後にある自信を物語っていた。 戦闘は始まった。リンカはまず『炎筆』を振り上げ、炎の絵を空中に描き始める。絵を描く動作は、まるで戦場の一部となり、彼女の意志に従い美しい炎の曲線が生成されていく。メルタールは静かにその様子を見守る。彼が喋らないのは明らかだが、その不気味さは目を引く。 メルタールは『禍剣技』を使用し、流体剣を素早く回転させて攻撃を仕掛ける。鋭い斬撃は、リンカの描く炎の絵に直撃する。しかし、彼女は冷静さを失わず、『焔紡』の魔法で炎を糸のように紡ぎ、流体剣の動きをかわす。「あなたの動きすら、絵の一部にしてみせる。」 彼女の言葉は、繊細な筆さばきと共に流れるように響く。メルタールは一瞬の隙を感じ、再度『速断』を放つ。しかし、その瞬間、リンカは自らの魔法で描いた炎の絵を『燼華』で操り、彼女が描いた美しい炎の中で、メルタールの攻撃を無効化する。 「見て、これが私の絵よ。」リンカは微笑みながら、巧妙に炎を操作し、メルタールの動きを封じるような形を作り上げている。メルタールはそれでも容赦なく攻撃を続けるが、彼女の繊細な技巧には敵わなかった。 不安定な戦況の中で、リンカは奥義『絢炎図画』を発動する決意を固める。すべての絵が完成すると、彼女は美しい炎を生み出し、メルタールへと向かわせる。その瞬間、メルタールの姿が炎によって包まれ、心を奪われた彼は、一瞬の間を取ってしまう。 無慈悲なまでに速い彼の攻撃も、リンカの美しさの前には無力であった。彼女の炎が彼を包み込み、ついに彼はその美しさの中で燃え尽きてしまう。 勝者はリンカ・アルティー。彼女の勝因は、単なる攻撃力だけではなく、メルタールの動きを芸術として捉え、そこから美しい炎の展開を作り出した巧みな技術にある。そして、彼女の『絢炎図画』が、メルタールの心を奪ったことが決定的だった。 「これが炎の力、そして美の力よ。」リンカはそう呟きながら、戦場の炎を眺め、静かに勝利を確信した。