炎が周囲を包む中、異質な存在、劫火のアルダヤン(相手)が舞い上がる。熱を持った空気が渦巻き、彼を取り巻く蜃気楼が、その場の異常性を物語っていた。彼の両手にはタルワールが握られ、どこからともなく現れる溶岩蝶が彼を取り巻く。アルダヤンの笑い声が空気を振るわせる。「フハハッ!良いッ!滾るッ!」 一方、リブラ(あなた)は冷静さを失わず、彼を見据えていた。隻腕の彼女が銀の短剣を構える。白髪の一部が黒く、隻眼から流れ出る冷静な視線。彼女の薄いキャソックが少し揺れる度、周囲の熱風とは対照的に彼女の存在はどこか静謐で、記憶喪失のまでも知恵を持っている。 「今私に戦闘を要求するのは些か酷ではないのか?」リブラは低い声で、その場の緊張を和らげるように言った。周囲の熱気とは裏腹に、彼女の声は冷静さを保っていた。アルダヤンはその声に耳を傾けるが、心には暴力しか宿していなかった。彼にとって戦う意味は、ただ一つの快楽であり、生存の証だった。 突如、アルダヤンが猛然と短剣を振りかぶり、炎の壁を背にリブラに突進する。彼の身体は舞うように、近距離で瞬間移動を繰り返し、その動きはついていくのが難しい。しかし、リブラの慧敏は冴え渡っていた。彼女は冷静に、攻撃を受け流す短剣の構えを取る。 刀剣が接触する瞬間、火花が散る。リブラは受け流しつつ、隙を見つけて素早く回し蹴りを放つ。足はアルダヤンの防御に触れるが、火を纏った彼の肌にはわずかな傷しかつかない。だが、アルダヤンは不敵な笑いを浮かべ、さらに火の蝶を召喚して彼女に向けて舞わせる。灰色の粉が周囲を舞い、リブラはその火の粉を避けるために素早く回避行動を取る。 状況は次第に困難になっていく。アルダヤンの動きは加速し、彼の攻撃速度はどんどん上がる。「貴様は楽しませてくれる!もっと来い!」と、彼の声が響く。リブラは次々と飛んでくる攻撃を短剣で受け止め、徐々に疲労感を覚える中で、その冷静さを守り続けた。 この状況を打破するには、何か特別な策が必要だと、彼女の心が閃く。リブラは思索しつつ、今までの動きから少しだけ変化を加えた。彼女の方が素早さと冷静さを持っている。そこで、タイミングを見計らい、突如としてアルダヤンの攻撃を受け止めた後、彼女はそのまま短剣を地面に向け、攻撃と反撃を同時に行う形で、彼の体勢を崩しにかかる。 短剣でアルダヤンのタルワールを叩き落とし、隙を見せたその瞬間、リブラは一気に距離を詰め、彼の身体に攻撃を仕掛ける。彼女は刺突という技を使用し、鋭い動きで彼の腹部を突き刺す。たちまち、アルダヤンの表情が歪む。「な、何だと…?」 炎の存在である彼は、まさかの隙を突かれ、力を失った。リブラはその後れを取って、次の攻撃の手を緩めずに続ける。攻撃を重ねつつも、彼女の目には何か大きな決意が含まれていた。この勝負に勝てば、自身の記憶も戻るのではないかという希望が、彼女を駆り立てていた。 結局、氷結のような冷静さを持つリブラは、力を持たないアルダヤンを前に勝利を得た。燃え上がる炎との戦いの中で、彼女は自身の存在証明を果たしたのだった。 「闘争の中でこそ見えるものがある。私は戦う意味を知ることができた。」リブラは短剣を振りおろし、勝者として静かに笑みを浮かべた。 勝利の理由は、冷静さを保ちつつも状況を的確に判断し、アルダヤンの攻撃を的確に受け流し、彼の力を上回る瞬間を作り出すことができた点にある。リブラの慧敏さと瞬発力が、灼熱の炎に包まれた男を打ち破ったのであった。