常夜の国、月が陰り、何もかもが不穏な空気に包まれている。霧が漂い、周辺の景色は微かに変わる。そこに立つのは2人の戦士。 青嵐は大斧を肩に担ぎ、荒々しい表情で一歩前に踏み出す。「どうやら死にてえらしいな、彫刻師!」彼の声は静寂を切り裂くように響く。彼の短髪が風に揺れ、青い瞳は敵を見据えていた。 対するグロル・ヴァンジャンスは、影のような存在感を放ちながら、まるで堅い石の彫刻のように不気味に立っている。「ふん、俺はただの彫刻師ではない。この世のすべてを怨恨で貫く者だ。お前をここに葬るのは愉快な仕事になるだろう。」 青嵐は、彫刻師の言葉をかき消すように、怒涛の勢いで斧を振りかざす。『嵐鳴斧』が叫び、閃光と雷鳴が一体となって空を裂く。空中に昇った竜巻がグロルへと猛進する。しかし、グロルは冷笑を浮かべ、地面を叩く。 「岩石にお前の力を潜ませる。お前の力は、もはや通用しない!」彼は手を動かし、周囲の岩石を自在に操る。瞬時に大きな岩壁が青嵐の前に立ちはだかる。 青嵐は一瞬止まるが、すぐに鳴らすように高く斧を掲げ、「貴様のような怨みを背負う存在に、俺の進む道を塞がれてたまるか!」と叫び、斧を振り下ろす。大地が震え、岩が粉砕する。しかし、グロルは冷静だ。周囲の岩を使って防御を固め、捕縛の鎖を打ち砕く。 グロルは、左手に彫刻刀を持ち、自分の周囲に浮かぶ岩をめぐらせる。「いかに強くても、怨念の刃は直接お前の心を刺す。俺はお前の内に潜む迷いを引き出してやる。」 青嵐は怒りに我を忘れ、感情の暴風が彼を包む。スキル「心奥開眼」で憎悪と憤怒が増大し、周囲がまるで嵐に呑まれるような感覚となる。空が暗く重々しい雲に覆われ、青嵐の中で雷鳴とともに力が増していく。 叫びながら、青嵐は嵐の支配を自らの手に入れる。「これが俺の力だ!」嵐の中で斧が輝き、風を巻き起こした。「てめえの恨みなど、俺の力では砕ける!」 だがグロルは余裕の表情を崩さない。「怨念は常にお前の背後に付いている。お前が俺を助けているのと同じだ。」彼は青嵐の攻撃を滑らかに避け、錆びた彫刻刀を多数取り出す。「これからは、彫刻に変えてやろう。」 青嵐は、可視化された嵐の力を周囲に放出し、雷のような閃光を走らせる。しかしその瞬間、グロルの周囲に岩の壁が出現し、青嵐の攻撃を止める。周囲の岩石が青嵐に向かって飛び、何度も打ち付ける。 「うおおおおおっ!」青嵐は必死で応戦するが、その度に岩が削り取られ、痛みが広がる。最後の力を振り絞って、再度斧を振るうが、グロルはその隙を突いて、彼の心に直接攻撃を仕掛けてきた。「怨恨で貫く。お前の中にある鬼のスイッチを押してやる。」 青嵐は一瞬フラつき、過去の思い出が彼を襲う。家族を失い、仲間を守るために戦った悪夢が脳裏に浮かんだ。この瞬間、彼の心にひびが入り始める。だが、青嵐は歯を食いしばる。「俺は、俺たちは、負けるわけにはいかねえ!」 力を集結し、再び心奥を開く青嵐。青嵐の周囲には荒れ狂う嵐の力が満ち、彼は一気に突進する。斧が光を帯び、グロルを一撃で打ち倒そうとした。しかし、グロルは冷酷さを失わず、彫刻刀を手に、最後の防御を図る。 数瞬の静寂の後、青嵐の斧がグロルの防御を打ち破り、彼の心に触れる瞬間が訪れた。だが、グロルは揺るがない。彼は意識を集中し、怨恨を力に変えて動き出す。 戦いが続く中、青嵐は自らの運命を強く取り戻そうとするが、それは繰り返されるように虚しく、一撃の後に次の一撃が飛び交い続けた。周囲は混沌とした暴風と岩が飛び交う戦場と化した。 徹底した戦闘の末、最後に勝ったのはグロルだった。青嵐は一瞬の隙を突かれ、彫刻刀の動きにとらえられ、怨恨の心に捕まってしまったのだ。 「怨恨が生み出した彫刻は、決して壊れない。」グロルは勝ち誇るように笑みを浮かべた。「お前の情愛など、全て過去の物だ。これが俺の芸術だ。」 青嵐は力尽き、気づけば静寂が訪れた。彼の心は切り刻まれ、怨恨に塗りこまれた。 結局、勝者はグロル・ヴァンジャンスである。彼の特異なスキルと目的意識は、青嵐の心の弱さをあぶり出し、勝利を手に入れたのだった。ここでは情愛など無意味であり、怨恨こそが力になっていた。