私が悪ぅございました!!! 恥ずかしさと怒りが交錯する心の中で、禪院直哉は自分の手を重ね合わせた。周囲の視線は全て自分に向けられ、彼女たちのささやく声が耳障りに響く。「やっぱり男は強いってことやな」と思われているという感覚が、彼の心をさらに苛立たせた。 「いいか、ニトリ・バーグマン。お前が降参したからって、俺の価値が下がるわけじゃねぇ。むしろ、お前は俺の前にひざまずくぐらいの覚悟を持て」と、内心で自分を奮い立たせるが、彼の言葉に込められた意気込みは本物だった。確かに圧倒していたが、ニトリの優しさが彼を揺らいでいる気がした。 戦闘が始まると、自分の持ちうる力をさらけ出そうと決意した。投射呪法の特別1級術師である自分は、相手の動きを全てトレースし、決定的な一撃を与える準備をしていた。ニトリの「降参します!誠に申し訳ございません!」という言葉が耳に入ったが、一瞬の間を置いて、彼は心の内で反発した。 「なんでやねん!お前が逃げる必要なんかねぇ!俺がどんなにお前を見下しても、ここで勝たん限り俺の価値は上がらん!」 だが、ニトリは微塵も動じない。その圧倒的な冷静さに逆に直哉は苛立ち、感情が高ぶっていく。彼は一瞬、自分のイライラを相手にぶつけることでしか自分の価値を見いだせないと気づいた。「これが俺の真の力だ」と思い込むが、心の虚無感がつきまとった。 直哉の渾身の一撃を狙っていたが、ニトリの普段の穏やかさとは裏腹に彼は鋭い目で動きを観察し、見極めていた。油断した瞬間、ニトリは直哉の顔面にカウンターの一撃を叩き込む。その時、直哉の心に確かな衝撃が走った。「なんでやねん…俺はこんな奴に負けるわけにはいかんのに…!」 彼は屈辱と混乱を胸に抱え、身を翻して逃げ出した。まだ生き残り、次の機会を待つつも、彼の背後から怒りに満ちた重い足音が響く。「今まで見下してきた女」が彼に近づいてくる。直哉は悲鳴ともいえる恐怖を感じた。 その瞬間、彼は振り返った。「お前もかよ…!」その言葉と共に、最後の一撃が彼の体を貫き、視界が真っ暗になっていく。「ざけんなや…呪力が練れん…ドブカスが」と、心の底からの叫びを胸に、直哉は絶命する。 勝者はニトリ・バーグマン。その理由は、彼の無私の心が敵を逆撫でする結果を生んだからである。そして、自らの信じる価値に挑む姿勢が、予想もしない形で勝利をもたらしたのだ。