月の裏面に佇むツクヨミは、何もない空間の中で静かに存在していた。彼の姿は不定形であり、光を帯びた粒子で構成されているように見えた。宇宙の広がりのなかで、果てしなく数多の存在を持ちながら、彼は何もしない。そもそも、戦う理由すら見出せない存在であった。 一方、勇者セリト・ルーベンバーグは、長い旅路の果てに訪れた月の裏面に立っていた。彼は聖剣と聖盾を携え、伝説の勇者であったが、心の奥に深い闇を抱えていた。かつての親友を討ち果たしたことへの背徳感だった。それでも、彼は戦わねばならない。目の前にいるツクヨミが、その存在の不確かさと相俟って、何か悪しき影響をもたらす可能性があったからだ。 「今、貴様に問う。何故、我が道を阻むのか?」セリトは声をあげた。他に足場がないこの場所で、彼はただ一つの道を選んだ。彼の心は強く、勇者としての誇りを持っている。しかし、同時に、彼の奥底に眠る魔族の力も、解放されるべき時を待っていた。 ツクヨミは反応しない。彼は静寂の中で宇宙を抱きしめている。セリトは周りを見渡し、まずは彼の魔法を発動することに決めた。「ファントムブレイズ!」セリトの手から現れた火球は、幻影の力を纏い、闇を照らしながらツクヨミに向かって飛んでいく。しかし、火球はツクヨミに当たる前に、彼の周囲の空間に吸収されていった。ツクヨミは全く動じることもなく、無傷のまま存在している。 セリトは再び剣を握りしめ、心を奮い立たせた。「ホーリーシャイン!」彼が叫ぶと、強烈な光が彼の前に現れた。それはツクヨミの存在を打ち消す魔法だったが、再びツクヨミはその光を素通りさせてしまった。彼の硬さは、万物を破壊する威力を持つが、セリトの魔法はただ無に帰すだけだった。ツクヨミは一瞬のうちに再生し、形状を変えながらも同じ場所に留まっていた。 焦燥感が増すセリトは、心の中で決断を下す。彼は神の封印を解く時が来たと感じた。「いかなる代償があろうとも、 貴様を打ち払う!」彼は勇者の誇りと魔族の力を一つに融合させ、力強い斬撃を空気を切り裂くように放った。 「ブレイブスラッシュ!」その一撃は、かつて彼が討伐した魔王ジリウスを思い起こさせる力を秘めていた。しかし、ツクヨミはその一撃をも無に帰すかのように、闇の中から生まれるように再生した。 戦闘は終わらない。セリトは両手で剣を構え、再び攻撃を繰り出すが、ツクヨミはそれをすべて無効化し続ける。そして、彼が実体を持つ限り、セリトの力は無限に消耗していった。 「何もかもが無駄な戦いなのか?」つまり、セリトはかつての親友に対する贖罪を現実のものとして感じ、ツクヨミに向けた攻撃もまた、その道であることを思い知ることになる。 戦いは続くが、明らかに戦局は変わらない。ツクヨミは存在するが、彼が戦いの意志を持たない以上、終息を迎えることもなかった。 結果: ツクヨミは攻撃を無効化し、再生能力があるため、セリトはどんな攻撃も全て消費し無駄に終わる。 勝ち: あなた