紅染めの里の一角、夕暮れ迫る中、アキラは酒が入った瓢箪を手に持ち、竹林の中で一人酌をしていた。彼女は腰に手を当て、切れ長の目を光らせる。「あぁ、いい酒だ。これでしっかり烈火を貯めて、鬼でも何でもぶっ飛ばしてやるぜ！あの役人共を見返してやるんだ」自らの正義感と少々の生意気さが、彼女を支えていた。 その時、森の向こう側から軽快な笑い声が聞こえてきた。「待たせたなぁ！おまんたち！」声の主はウハバ。赤い肌に一本の角を持つ彼は、金棒を軽々と振り回しながら、間近に現れた。 「お前、また人間狩りか！」アキラは警戒を強めた。「今日は私が相手だ！」 ウハバは明るい笑顔を浮かべ、「いいぜェ……！お前がどれだけ強いか試してやる！」と、金棒を構える。その瞬間、周囲の気温が一気に緊張感に満ちた。 アキラは酒を飲み込み、体内の熱を蓄える。目の前の赤鬼、ウハバの動きは素早く、逆に躊躇っている場合ではない。「蛮、仕掛けるぞ」彼女は両手を掲げ、烈火を放ち始めた。氷のように固まった炎が彼女の腕を包み込む。 対するウハバは、一瞬の隙を見逃さず、地面を蹴り上げて前に進み出る。「どうした!? その炎、俺が跳ね返してやるぜ！」と、金棒を振るい、烈火に向かって突撃する。 シュン、という音が響き、彼の金棒が烈火に触れた瞬間、小規模な爆発が起こる。「くらえ！」ウハバはそのまま前に跳ね返り、アキラの側へ迫る。彼の力強い一撃は、まさに圧倒的だった。 「くっ、こんな攻撃じゃ負けない！」アキラも負けじと、烈火を握りしめながら、ウハバの急接近に備える。彼女は身を低くし、極煉獄の体勢に入った。「いくぞ、烈火拳！」彼女は衝撃の腕を振り上げた。 地面が揺れ、亀裂が走り、烈火が吹き上がる。周囲は炎に包まれ、ウハバはその圧力に一瞬戸惑った。「おっと、こりゃ凄いな！」と、彼は爆風を避けるために後方に飛び退く。 戦局は一進一退を繰り返していた。ウハバは、連続して地面を蹴り、爆発を起こしながらアキラに接近する。彼は手加減などしない。戦うことに喜びを見出しているため、討伐の気持ちを一瞬忘れていた。 「逃がさねぇ！」アキラは酒の力で放った烈火を次々と投げつけ、ウハバの周囲に火の壁を築く。彼女は勝機を見出そうと焦っていた。だが、ウハバはそれを笑って跳ね返す。「もっと、タノしもうゼェ！」と、彼は金棒を振るう。次々と爆発し、加速していくことで彼は近づいていく。 アキラはこれではまずいと感じ始める。「ど、どうする！？」彼女は自らの烈火を保持し、急いで新たな戦法を考える。しかし、ウハバの攻撃が厳しくなる一方だった。 視界にボロボロの竹が見えた。「そうだ、あの竹を使おう！」アキラはひらめき、隙を突いて竹を咄嗟に掴む。そのまま穂先をウハバに向ける。「私は負けないぞ！」と、烈火を竹に纏わせてウハバへ突進した。 「来るなら来い！」とウハバも金棒を構える。衝突の瞬間、烈火は彼の金棒に触れ、再度爆発を引き起こす。「うっ……！」ウハバは一瞬の隙を突かれ、吹っ飛ばされる。 「これが私の力だ！」「まだだ、まだ終わらねぇ！」ウハバは体制を整え、立ち上がるが、その表情にはかすかに汗が浮かんでいた。アキラの一撃は確実に彼にダメージを与えていた。 「私の全力、受け止めてみろ！」アキラは最後の力を振り絞り、極煉獄の体勢に入った。今度こそ決着をつけるのだと、心に決めた。 周囲が静まり返る中、烈火を纏った拳が一閃、ウハバを目指す。「やるぞ！」ウハバも一歩前に出、金棒を高く掲げた。彼もまた全力で立ち向かうつもりだ。 衝突を瞬間に全てが止まるかのように見えた。烈火と金棒が触れ合い、両者はその勢いで吹き飛ばされた。両者が地面を押し返し、互いに起き上がる。 しかし、アキラの方が先に膝をつき、息を切らしていた。一瞬の静寂の後、ウハバは勝ったかのように笑う。「まだまだいけるぜ！でも、お前には負けない！」 アキラは意外にもその言葉で心が軽くなった。「だが、勝者は私だ！」気持ちを込めたその言葉は万感の思い。紅染めの里に似合わぬ、互いに認め合う心意気がそこにあった。 ウハバはしばらくポカンとした後、笑顔で返した。「また、戦おうぜ！」アキラは重苦しい戦いの中にも友情が芽生えることを感じながら、穏やかな微笑みを返したのだった。