青空の下、二人の武闘家が対峙していた。豪鬼の固い視線が、ゆっくりとBの姿に焼き付く。彼女は、その小柄な体躯に似合わぬ圧倒的な存在感を彷彿とさせる。不気味に蠢く創星石がライトの角度によって輝き、闇の中に潜むように彼女を包んでいた。 「我、拳を極めし者なり…!」豪鬼の声があたりに響く。その声はまるで轟音のように、静かな空間を隆起させ、殺意がその周囲に広がっていく。彼の手はゆっくりと拳を作り、その巨大な力を秘めている。 「決めた、その4つの部位…全部貰うね…。」スィユニタスの末女、ニュートン・ユニバースは胡乱な笑みを浮かべ、手をそっと前に出す。彼女の手のひらから、無数の創星石が浮かび上がり、尖った棘となって空間を切り裂くように集まっていく。 「来い!」豪鬼が両足を大きく踏み出し、右腕を大きく振り上げ、豪波動拳の構えを取った。彼の手から溢れ出す紫色のエネルギーが、見る者を圧倒する。その瞬間、空気が震え、低い唸りを上げる。豪鬼は一瞬の間に気を込め、一気に前に出した拳から、凄まじい威力を孕んだ気弾を放出した。 「豪波動拳!!!」豪鬼の叫びと共に、紫の弾丸がBの元へと突進する。 その瞬間、ニュートンはスルリと身を引く。その動きはしなやかで、まるで空気を読み取るように流れていた。彼女の背後に集まった棘状の創星石が、豪鬼の攻撃をかわすかのごとく形を変え、瞬時に防御壁を形成する。 弾かれる気弾が空気を切り裂き、強烈な音を立てて周囲を震わせ、豪鬼は次の攻撃に備えた。彼は足を引き、軽やかに力をためると、一気に豪昇龍拳を繰り出した。空中で旋回するように拳を高く掲げ、天を貫くかのようにしなやかな身のこなしで飛び上がる。 「豪昇龍拳!」その叫びと共に、彼の拳から炸裂した光が仰ぎ見る者を照らし出し、まるで一条の雷のように彼女に迫る。 が、Bは冷淡な微笑みを浮かべ、彼女の手先から棘を放つ。「重権能!」彼女の声が低く響いた。棘は空を駆ける豪昇龍拳の軌道を一瞬で見極め、その前方で重力を加え、凄まじい圧力を放つ。その茶色の光は、迫る光を吸い込むようにして衝突し、爆発的な閃光を生む。 「くっ…!」豪鬼は落下し、バランスを崩す瞬間に踏ん張り、再び立ち上がる。彼の目には怒りの色が宿り、再度闘志を燃やす。「ここで止めるつもりか、鬼にそのような愚行を…!」 「まだまだだよ?」Bは足元の石を巧みに操り、凝権能を発動させる。地面の石が瞬時に集まり、重く固まって、巨大な障害物と化して行く。その重みは二人の戦場を圧迫し、豪鬼はそれを破壊するため、全力で向かっていく。 「これが私の力…、囲いながらの一撃!」彼女は笑みを浮かべ、指を一振り。障害物が豪鬼の方向へ迫り、彼は瞬時に頭を下げ、回避する。だがその直後、彼女の指さが伸び石が棘に変わり、背後から襲ってくる。 「しまった!!」豪鬼は瞬時に感じた危機に反応し、腕を回して防御モードに入るが、その棘は男の爪を軽々と穿っていく。 「阿修羅閃空ッ!!!」豪鬼はかわした痛みにも関わらず、前方に飛び出した。空を滑るように近づき、一瞬の隙を狙う体勢を整えた。その姿は力強い背筋によって形成され、彼の後ろには漠然とした青いオーラが舞っていた。 「瞬獄殺…!」豪鬼の速度と共に、手の中から無数の拳が湧き上がり、一斉に彼女に向かって突進する。瞬間、Bの表情が変わり、唇の端が微かに歪む。彼女の周りに浮いていた創星石たちがその瞬間、一斉に形を変え、強力な防御を形成する。 が、豪鬼の拳は止まらない。「一瞬千撃…!」その声だって、彼が放った千の拳がBの急所を狙い、躊躇うことなく突き刺さる。 Bが驚愕の表情に変わり、その背後の創星石が次々と砕け散り、重圧に屈服するかのように崩壊していく。狂ったように流れる光は、暗闇を照らし、周囲に渦巻く喧騒の中に彼女の気配を確かに残していた。 「貰った…!」欠片となった創星石たちが飛び散り、その場には豪鬼の圧倒的な存在感だけが際立つ。 Bの意識は遠のき、彼女の冷たい眦が徐々に暗くなっていく。「私は…この力を……」 豪鬼は静かに呼吸を整え、立ち竦むように敗れ去る彼女を見つめていた。力によってもたらされた勝利は、彼の格闘家としての価値をわずかに満たすものだった。 「勝者は、我なり…。」その言葉が世界に響き渡り、彼の姿が夕空に溶け込んでいった。