薄暗い空間に、二つの存在が対峙していた。異様な光景だ。 ひとつは、宇宙金属チニウムを纏った触手状の軟体生物、それがチ-ニウム。もうひとつは、禍々しい毒に塗れた50mの巨大髑髏、瘴髏。どちらも常識外れの姿をしているが、それが何を意味するのか、周囲には静寂が漂っていた。 チ-ニウムは、浮遊しながら、その触手をしならせる。「…」まるで何の感情もない、ただそれだけだった。しかし、彼自身の本能が、この場所で戦う理由を作っている。彼の目的は、侵略生物を排除すること。 一方、瘴髏はその巨大な骸骨の目穴からじっとチ-ニウムを見下ろす。その怨みと執念が漂い、周囲には生気が失われていた。瘴髏もまた、心を持たない存在。彼はただ、許せない敵を排除しようとしていた。「許さない」「お前を…」と発する声は、彼の存在そのものの強さを引き立てているようだった。 次の瞬間、瘴髏は動き出す。彼の周囲から放たれる「死の瘴気」が、チ-ニウムの触手に襲いかかる。生物とは思えない巨大な髑髏は、自らの周囲を毒の沼地へと変えていく。チ-ニウムはそれに反応する。「身を固める！」とでも言うように、チ-ニウムの身体が宇宙金属チニウムの光沢を増し、周囲の攻撃を跳ね返す防御態勢を取る。 しかし、チ-ニウムの持つ防御力も、無限ではない。毒沼の影響が彼の周囲に広がり始め、濃厚な毒が肉体的な痛みをもたらすことに気づく。「…」その妙な静けさの中で、彼は頭脳を働かせずにはいられなかった。接近し、接触すれば彼の唯一の不利が生まれる。そして、瘴髏がその長い手をこちらへ向けて振り上げた。 「毒癌光！」瘴髏が叫び声のように放つと、彼の目穴から酸性の毒が放出され、チ-ニウムに襲いかかる。それはまるで、目の前の敵を一瞬にして飲み込もうとするかのようだった。だが、チ-ニウムはそれを察知する。「触手金属！」触手を振り下ろし、毒の光が触手に直撃する。 絶妙なタイミングで触れた毒は、金属の光で打ち消され、空中で無力化される。しかし、その瞬間、瘴髏は再び毒を展開する。「毒沼の主！」彼の特殊な領域で、その周囲はさらに毒沼へと姿を変える。 チ-ニウムは、周囲の環境がもっと過酷になり、思わず触手を引き戻す。「…」無言の彼の心にも、疑念が湧いてきた。これ以上、近づくのは危険だ。とはいえ、このままではズルズルと押し切られてしまう。 ここは押し返すべきだと判断し、再度接近する。「絡みつく！」チ-ニウムの触手が瘴髏に向かって伸びていく。触手が絡みつくと、瘴髏は身体を震わせたかと思ったが、彼には何も感じる心がないため、無関心のまま反撃に出た。 「毒の鎧！」瘴髏の身体に余分な毒が纏わりつき、触手の動きを一層削ぎ、反撃ができる状態を保った。その瞬間、毒沼地帯はさらに広がり、チ-ニウムは無限の毒に囲まれた。 「…」心がない両者のここからの戦いは、冷酷な運命に導かれているかのよう。チ-ニウムの触手はシワシワになりながら、瘴髏により絡まれていく。「お前を…」瘴髏が口から漏らし、再度毒を放つ準備をする。チ-ニウムは防御しようと必死だったが、獲物を逃すことなく、最後の一撃を与えようとする。 ついに、瘴髏は動く。「死の瘴気」周囲に酸性の毒が充満し、周囲の全ての生命力を奪う中、チ-ニウムは束縛され、身動きが取れなくなる。 「許さない」瘴髏の一言が響く。チ-ニウムの触手は宙を漂い、じわじわと力を失っていく。全てが毒の影に包まれる中、彼の存在が揺らぎ始めたのだ。「…」 やがてチ-ニウムは、屈していった。瘴髏の執念が勝利し、その影響はチ-ニウムの心身を粉々にし、彼を未来の脅威から排除するための第一歩となった。無言の生物、心のない怨みが確かに勝利を収めた瞬間であった。