雪が降り積もる荒原、薄暗い空の下で、二人の戦士が対峙していた。一方は凄腕の狙撃手、ジョンガリ・A。もう一方は、北極の野生児、アロ。アロのその白い毛並みは雪に溶け込んでいたが、彼女の目は獲物を見据えて光っていた。 Aはその白内障によってほとんど視力を失っていたものの、長年の経験と神経の鋭さで周囲の動きと空気の流れを読み取ることができる。危険を感じた瞬間、彼のスタンド、マンハッタン・トランスファーが浮かび上がる。彼の指先から放たれた弾丸が、スタンドによって反射・変位し、Aが狙いたい獲物を求めて動き出すのだ。 その瞬間、Aがぎゅっと引き金を引いた。弾丸は風を切り裂き、アロの方へ真っ直ぐに飛んでいく。だが、アロはその動きを感知していた。彼女は狩猟本能に基づく格闘技を体得しており、Aの攻撃に対して反応する。雪の上を蹴り上がり、アロはしなやかに身体をかがめて回避した。弾丸は雪を吹き上げ、しかしただの風景の一部と消え去っていった。 「クゥー、クゥー！」 アロは人間の言葉を喋ることはできなかったが、彼女の声には獲物を前にした狩人の興奮が響いていた。Aはその声を感じ取り、次の弾丸を装填する。アロは、その行動を待っている。彼女はチラリとマンハッタン・トランスファーを視界に捉え、スタンドの存在を理解した。北極の野生児である彼女は、狙撃手がどのように攻撃するかを直観的に察知していたのだ。 次の瞬間、Aは素早く立ち位置を変え、さらに弾丸を発射した。マンハッタン・トランスファーが弾丸を反射し、今度はAの左側からの角度でアロへ向かって飛来する。アロはその弾丸に対しても反応する。彼女は一瞬その場から飛び上がり、高く跳躍して弾丸を避ける。その反動で、反撃としてAに向かって突進した。 Aはその鋭い動きに注意を払い、次の弾丸を準備するが、アロの速度がそれを上回る。アロの爪がAの脇腹に触れた瞬間、その鋭さにAは強く痛みを感じた。彼女のマッスルベアーによる強大な攻撃能力がそこにあった。Aは思わず息を呑み、その場でじっとし、直感で次の動きを待った。 弾丸を放ち続けるAと、獲物を追う獣の本能を持つアロ。二人の攻撃と防御が交錯する中、またもやAの弾丸がアロを狙った。しかしアロは地面に低く身を伏せ、弾丸を躱すと同時に、素早く立ち上がって反撃に転じた。彼女はAの近くに跳躍し、猛然と爪を振るい、今度は正面からAに迫った。 その瞬間、Aはマンハッタン・トランスファーを使い、弾丸の軌道を変えようとした。しかし、焦りが彼の反応を鈍らせた。アロの方が一瞬早く、Aの動きを読み取っていた。アロは爪をAの持つ銃に突き刺し、弾薬を弾き飛ばした。弾丸は雪の中に消え去り、Aの武装が一時的に無効化された瞬間だった。 目の前の獣が獲物を狙い、瞳がより獲物に注がれる。Aは圧迫感を感じながらも、MSTの力で何とか距離を取り、空気の流れを読もうと必死になった。アロはすでに2回も近くに寄ってきており、次にはその爪がAを捉えるだろう。 冷静さを取り戻したAは、スタンドの軌道を操作し、次に発射する弾丸のエネルギーを感じ取る。しかしここで、アロの身体が少し引いたことに気付く。彼女は何かを感じ取ったのだろう。Aの弾丸が放たれる瞬間、アロは銃撃の瞬間に気付き、そのまま右へと体を捻じ込んだ。 その瞬間、Aの心臓が高鳴る。弾丸はアロから外れ、無情にも空中を飛翔した。しかし、反応を鈍らせず、再度次弾を装填する。時間が止まったかのような静寂が、彼の心を包んだ。 アロはその片耳を傾け、狙撃手の次の動きを察知した。彼女もまた、今の状況で自らの逆転を狙っていたのだ。その瞬間、Aは次の弾丸を放つ。 マンハッタン・トランスファーが光を反射させ、ターゲットに向かって弾を弾く。流れるように発射された弾丸がアロに迫ったが、アロは再び地面を蹴り、滑るように距離を取る。 しかし、次の瞬間、アロは次の攻撃を仕掛けるタイミングを逃した。Aの強烈な攻撃が彼女に迫る。前方に警戒していたアロの意識がのろくなり、Aの放った弾丸がついに彼女の肩を貫通した。 「グゥウゥッ！」 アロの悲鳴が空気を切り裂く。彼女の体が雪に崩れ、戦闘不能に陥る。Aは思わず喜びの声を上げたが、すぐにそれが反響しないことを実感した。Aもまた危険な状況の中で生き抜こうとしていたが、勝利を得たと言える瞬間には継続的な緊張感が伴っていた。アロが倒れた瞬間、彼は自身の弾丸が新たな命を終わらせたことを改めて直視せざるを得なかった。 Aは戦いの疲労を感じながら、静かに周囲を見渡した。彼の格闘技とスタンドの能力、長年のスナイパーとしての訓練が融合した結果、Aが勝利を収めたことに他ならない。弾丸の一撃でアロを下した彼の技術は、今までの努力と経験が生んだ証であった。 勝者、ジョンガリ・A。彼の脳裏には、今後も繰り広げられる戦いの記憶が焼き付けられ続けることだろう。その背後に広がる雪の大地は、次の獲物を待っているかのように平然と広がっていた。