東京の喧騒は、平穏を取り戻すための人々の努力とは裏腹に、恐怖に満ちた影に覆われていた。崩れ落ちた高層ビルの中に、二体の怪獣が対峙する。植物のように生い茂る都市の一角に、それぞれ異なる運命を背負った存在が集結していた。 一方は、巨大な機械の怪獣、機龍3式（メカゴジラ）。その輝く銀色のボディには、初代ゴジラの骨格が組み込まれており、まるで人間の手によって生み出されたデモンストレーションのようだった。武装も充実しており、背中にはレールガン、両腕にはミサイル。そして最終兵器ともいえる絶対零度砲が装備されていた。しかし、内心の不安を抱える機龍3式は、刻一刻と制御を失いつつあった。 対するは、＜ゴジラへの憎しみ＞メカゴジラ。人間の技術によって作られたが、その中には怪獣の意志が宿っていた。その体長は122メートルに達し、銀色と赤色のボディは一見すると冷徹な機械のようだが、その目には怒りと復讐心が宿っていた。 周囲の人々は、恐れおののきながらも絶望的な状況に足を止められない。この二体の巨怪獣が激突する瞬間が近づいていた。彼らはただ、破壊を求めているかのように、空中に立ち上がったアスファルトの煙や、大きなクレーンが崩れる音すら無視し、自分の存在意義を見いだそうとしていた。 「ギュオオオオン！」その声はメカゴジラの咆哮。街の中心部で鳴り響いた。機龍3式は不安定ながらも、凛然と立ち向かう。エネルギーをチャージし、目の前に立つ敵を見つめる。周囲の人々は恐怖に固まり、その瞬間に世界が崩れ去るかのような感覚を覚えた。 機龍3式は、高速移動を駆使し、一気にメカゴジラに接近。背中のレールガンから火花を散らし、敵に向けて弾幕を張る。閃光が走り抜け、周囲のビルが揺れ動く。だが、メカゴジラはその攻撃を冷静に避けるかのように、機動力を高めてジェットを噴かせる。メカゴジラは空中に舞い上がり、そのまま機龍3式の頭上へ。 「ギォォォォォォン！」再度の咆哮で、火を吹く。 メカゴジラの口から放たれたプロトンスクリームキャノンの一撃が、機龍3式の側面に炸裂した。装甲を持つとはいえ、強力な攻撃は思わぬダメージをもたらす。機龍3式はバランスを崩し、もんどりうつ。だが直ちに立て直し、素早く反撃に転じた。 両腕からそれぞれミサイルが発射され、メカゴジラの周囲に降り注ぐ。ミサイルは果敢にも敵を狙い撃ち、メカゴジラの抵抗を打ち破ろうとするが、メカゴジラはその攻撃を巧みに捌いた。逆に、力強く振るった「ロータークロウズ」が機龍3式の胴体に直撃、その威力をもって機龍3式は吹き飛ばされる。 周囲の街並みは一層、荒れ果てる。人々は（どちらが勝つにせよ、この戦いが終わるのかもしれない）と不安に苛まれ、避難を始めた。ビルの崩壊音が響き渡り、逃げ惑う人々の悲鳴が戦場の悲劇を際立たせる。二体の怪獣の戦いは、やがて周囲の環境をも蝕むまでに進行していた。 「グォォォォォ！」機龍3式はさらに反撃し、背中のレールガンを高く構え直す。だが、攻撃を指示しようとするその瞬間、制御がジャミングされ、肝心な一撃が打てなくなってしまう。内部に流れるゴジラのDNAによる影響が、ついに精神に作用したのだ。 その状況を読み取ったメカゴジラは、その優越した機動力を駆使し、機龍3式に接近する。「ギュオオオーン！」再び、その声が轟く。周囲のビルが震え上がる。さらに強力な攻撃を狙うメカゴジラ。 機龍3式は自らの武装を誇示し再び立ち上がる。しかし、その瞬間、メカゴジラのロータークロウズが彼の腹部に命中。衝撃が走る。機龍3式は再び制御を失う。内側から流れ込むゴジラの意志が、彼の戦闘能力を削いでいく。 破壊的一撃を受けた機龍3式は、力尽きるかのように崩れ落ちた。周囲の市民は恐怖の目で、その凄絶な光景を見つめ返す。メカゴジラはその勝利を確信し、勝利の咆哮を響かせる。 「ギュオオオオン！」彼の身体から、勝者のオーラが溢れ出た。周囲の全てを圧倒するその姿。メカゴジラは静かに空を見上げ、勝利を告げる咆哮を挙げる。その瞬間、東京の空を覆う恐怖が、彼の中で一つの決定的な存在へと変わっていった。 崩壊したビル群の中で、背後には雨が降り注いでも、その鋼の身体は静かだった。これはただの、科学と怪獣が交差した悲劇であった。人類の意志をかき消すかのように、メカゴジラの咆哮は響き渡る。そしてその残響の中に、東京の運命が刻まれた。