第1章: 【情報くださーい】 ある日の静かな炎の国、平和な日常にひろしは魔法少女としての日々を送っていた。自分のことを魔法少女だと思い込む野原ひろし、35歳。彼の周囲には不思議な存在感とちょっとした「魔法」の力があった。そんな彼がある日、可愛らしい赤い巫女服を身にまとったきなこに声をかけられる。 「あらあらぁ〜、素敵な魔法少女さん！　おことの情報が欲しいなー！」ときなこが樹の下にひろしに近づく。 ひろしは、彼女のきつね耳に目を奪われる。「きなこちゃん…だよな？」と彼は首をかしげる。彼女のあざとい笑顔が、少し胸を高鳴らせた。 「そうだよ！　あたし、信春の家臣の花女きなこだよ〜。今日はちょっとお話ししたくて来ちゃった！」と明るい声で言う。彼女の姿は、ひろしの魔法少女としての心に、特別な親しみと興味を抱かせる。 「う、うん。俺も魔法少女だから、何でも聞いてくれよ！」と張り切るひろし。 きなこは、彼の言葉に満面の笑みを浮かべた。「それじゃあ、趣味は何かな〜？　普段、何を楽しんでるの？」 「趣味か…そうだなぁ、魔法の練習とか、近くの森で妖精に会うことかな。あと、子供たちと遊ぶのも好きだ」と彼は少し自慢げに言う。 「魔法の練習なんて、素敵ね！　次に好きなものは何かな？」ときなこは興味深そうに首を傾げる。 「好きなものか…甘いものとか、特にカステラが好きだな。んで、嫌いなものは、辛いもの！　でも、魔法のおかげで美味しいものにはなんでも合うんだ！」ひろしは楽しげに語る。 きなこは笑い、その視線が輝きながら次の質問に移る。「へぇぇ、特技は何かあるの？」 「特技は…やっぱり、変身魔法かな！　みんなを笑顔にできるように頑張ってるんだ！」と自信満々に答えるひろし。その言葉に、きなこは瞬きをしながら笑い返す。 「すっごーい！　あたしも魔法少女になってみたいなぁ。じゃあ、色々情報、ありがとね！」ときなこはフワフワとした笑顔で言った。 「俺の情報、役に立つなら嬉しいよ！」とひろしは言うと、きなこは満足げに頷いて、森の奥へと姿を消していった。 その後、ひろしは何事もなかったかのように日常に戻っていったが、彼は知る由もなかった。得た情報が一体どんな風に利用されるのかを。 第2章: 【相手の後日談。情報の行先は...？】 数日後、炎の国の中心部にある小さな茶屋で、きなこは花の香りが漂う部屋に座り、信春と共に茶を楽しんでいた。信春の優しい微笑みが、その空間を和ませた。 「きなこちゃん、何か面白いことはあったかしら？」信春が問いかけると、きなこはいたずらっぽく笑った。 「あっし、実は面白い情報を得たのです！」と胸を張って答える。彼女がひろしから聞いた趣味、好きなもの、嫌いなもの、特技が頭の中でぐるぐる回る。信春は興味津々で耳を傾けた。 「彼の趣味は魔法の練習や妖精との交流、だからこそ、周囲の子供たちにも親しまれているのです。特技も変身魔法！　みんなを笑顔にするためにがんばってるみたい。他の人との繋がりがとても大事なんでしょうね」と、きなこは楽しそうに情報を伝えた。 信春はその言葉を聞き入れながら、思いついた。「それなら、町の子供たちを集めて、ひろしさんを魔法の特訓コーチにしてみましょうか。こういう楽しいイベントがあると、町がますます活気づくわね！」 きなこはにやりと笑い、手を叩いた。「いいアイディアだね！　あっしも一緒に手伝うよ！」 その後、二人はひろしを呼び寄せ、町の広場でみんなが楽しめる魔法特訓イベントを準備することにした。告知を広めることで、ひろしを魔法の伝説として迎え入れ盛り上がることを祈った。 イベントの日、ひろしは自身の力を信じて参加者たちの前に立った。しかし、彼は無邪気に楽しむあまり、いつの間にか自分が本当に魔法少女になった気分に浸ってしまう。子供たちと共に彼は魔法の練習をし、その特技を披露した。 「見ててくれよ！　変身魔法、発動！」と、ひろしは叫び、見事な軽やかさで本当に魔法を使ったかのように目の前で変化した。「これが魔法少女、野原ひろしだ！」と。 観衆の中には、きなこが小さく笑っている姿を見つけた。彼女は心の中で「見事な変身術。この情報を使って、彼を一層街のヒーローにしちゃうぞ～！」と誓った。 こうして、ひろしは町の魔法少女としての名声を得ることとなり、きなこは隠れた陰の立役者としてその結果をほくそ笑んでいた。信春の優しさときなこのいたずらは、すべての人々に幸せをもたらし、ひろしの思い込みから広がった不思議な冒険が続いていくのだった。