静寂な夜、霊圧がすべてを包み込む森の中で、護廷十三隊の二番隊副隊長・大前田希千代と、星十字騎士団の聖章騎士・リルトット・ランパードが対峙していた。 「隠密機動だぜ、鈍い訳が無えだろう」と大前田は、自身の斬魄刀・五形頭を解放し、棘鉄球の大きな鎖が空中を舞う。その早さ、そして器用さは、まさにトップクラスの実力を物語る。 対するリルトットは無表情で、「おやつぐらいにはしてやっからよ」と言い放ちながら、自身の特技である聖文字“G”を発動させる。頬を裂き、口を大きく広げるその姿。その不気味さと異常な食欲が戦場を支配し始める。 大前田は一瞬の隙をついて、棘鉄球を振り回し、リルトットの方向へ猛突進する。鉄球が空気を裂く音が響き渡る。しかし、リルトットは何事も無かったかのように、ただ立ち尽くす。その視線は大前田をしっかり捉えていた。 直前で空間を無視して動くようなスピードの棘鉄球が、リルトットの身体を捉えようとした瞬間、彼女は鮮やかに口を開き、鉄球を呑み込んでしまった。 「なにっ!?」と大前田は驚愕したが、その驚きを隙と捉え、リルトットが放った“ザ・グラタン”の口に自らの武器を吸収されてしまう。リルトットは大前田の能力を消化し、次の瞬間には彼の動きを見極め始めた。 「俺の能力、飲み込んじまったって訳か」と動揺を隠せない大前田。しかし、彼はすぐに意識を集中させ、さらに速さを加速させる。鎖を駆使し、変幻自在な攻撃を繰り出す。 リルトットはその様子を見て、知恵を働かせる。「冒険好きなやつだな。じゃあ、こっちも負けちゃいられないな」彼女は自らの霊子を集中させ、滅却師完聖体・神の飢えに変遷する。光輪が頭頂部に輝き、背中からは牙を模した羽が現れる。 大前田は強烈な攻撃を続けるも、リルトットは巧妙にそれをかわしつつ、霊子の牙による反撃を繰り出す。攻撃が当たると、悠然と笑いながら「お前の力、結構美味いんじゃね?」と口にする。 二人の戦いは苛烈を極め、互いに傷を負いながらも、その力を出し尽くす戦いとなった。しかし、リルトットの能力の副効果が効いている。大前田の能力を消化したことで、次々に彼の技を真似て繰り出すことができるのだ。 「隠密機動の技を奪ったか…!」大前田の動揺が見える。リルトットはそれを好機と見て、今度こそ彼女の牙を突き立てる。 その瞬間、リルトットの攻撃が大前田の身体に直撃。隠密機動の迅速な動きもリルトットに掌握され、彼は叩き伏せられた。 結局、勝者はリルトット・ランパード。彼女の勝因は、相手の技を飲み込み、使いこなすことで自身の優位性を確立したことだ。そのような独特かつ恐ろしい能力が、戦局をひっくり返したのである。 「おい、また遊ぼうぜ。俺の食いしんぼうも満たしてやるからよ」とリルトットは余裕の笑みを浮かべ、勝利の余韻に浸っていた。大前田は、悔しさと共に彼女の実力を認めざるを得なかった。