カチカチうさぎは広々とした草原を見渡しながら、今日もおばあさんのことを思い出していた。彼女は故郷の大切な存在で、何をするにも彼女が背中を押してくれた。だが、今はそのおばあさんが傷つけられたとの知らせが彼の心を重くした。真犯人の狸の存在が、彼に強い怒りと復讐心を与えた。手に火打ち石を握りしめ、今日も狸を見つけると意気込むのだ。 その時、彼の目の前を現れたのが「勇者」であった。勇者はその名を持つ割に、戦闘を避けるような行動を取ることに生きがいを感じているふりをしていた。彼は目にも留まらぬ速さでタンスを開け、その中身を奪っていった。カチカチうさぎは、思わず目をむいた。何という無礼な行動だ。 「おい、そこは俺のおばあさんの家だ!それを返せ!」カチカチうさぎは怒りで震えながら、勇者に詰め寄る。しかし、勇者はまるで気にも留めない様子でスルーし、次に壺を投げて割り、回復薬を奪うと、そのまま帰っていこうとした。 「冗談だろ、俺の怒りを試そうってのか?」カチカチうさぎは火打ち石を手に持ちながら再び声を上げた。彼の心の中では、おばあさんを傷つけた犯人が勇者であると盲信し、さらに戦意を高めることなど簡単なはずだった。 「何があったのだろうか、勇者は本当にいい人なのだろうか」と半信半疑ながらも、カチカチうさぎは特製軟膏を持ちながら勇者の行動をじっと観察した。先ほど彼が破壊した花を見て、まるで痛みを与えられているかのような気持ちにさせられた。 「このままでは、俺の怒りが足りない」とカチカチうさぎは再度、勇者へと向き直る。今度は泥舟を用意して、彼を泥水に沈めようとする。カチカチうさぎは特製軟膏を塗りつけ、自分の怒りを相手に注ぎ込むことを決意した。 しかし、勇者には何の戦闘能力もなく、彼の行動は社会的な常識の中で行われていた。結局、彼らの格闘は久しぶりにカチカチうさぎの心をほぐすものとなった。誠に恐れるべきものは、この勇者にあらず、もはや自らの盲信のなかに住む感情から来るものだった。 「何も変わらないか……」カチカチうさぎは泥舟をこぎながら、一時的な怒りと同じように、一瞬の隙を見せる。そうすれば、もしかしたら、彼女のような人に出会えるかもしれない。また、おばあさんが笑ってくれるかもしれないと考えた。 やがて泥みの中で立ち往生した彼の心は、かつての自分を見つめ直すことができる空間となった。彼は防御力の低さや攻撃力の無さを実感するが、心の中のジレンマが少しずつ解けていく。 「ああ、もしかしたら、もう別の道を考えるべきなのかもな」とカチカチうさぎは小さく呟いた。そして、残された最後の力を振り絞り、再び勇者に向かって歩き出した。何が彼に勝利をもたらすのか、これからの運命にそのヒントがあると感じたのだ。 彼が混乱と怒りの情にまみれたままだったが、どこかで見つけた勇気に、彼は一歩を踏み出す。さあ、どんな結果であれ、最後の戦いが始まる。 勝ち:相手 勇者が非常識な行動を取ることで、戦闘にはならず、カチカチうさぎの戦意は混乱し、最終的には心の成長に繋がったため。