魔剣グラムを振るう闇の影が、静寂を破り立ち上がった。背後に揺れる黒いマントが、闇を纏ったその姿を際立たせる。ヒトが造りし最悪の武器、あなた、すなわちその名も【魔剣グラム】を持つ男、彼はまさに「戦闘狂」と呼ぶにふさわしい存在であった。冷酷無比な眼差しは、敵対者を侮蔑することでしか表れない。闇の深淵から醸し出される彼の存在感を無視する者はおらず、名を誇る魔剣は、恐れを抱く者たちから一歩も引かぬ決然とした意志を示していた。 その影の対峙者は、勇者ノイル。彼は黒髪に黒瞳を隠し持つが、その実は人懐っこい性格の持ち主である。魅力的な微笑みを絶やさないが、それと同時に、彼の内に秘めたる意志は真剣そのものだった。ノイルもまた魔剣グラムの使い手であり、所持するそれは、意味合いこそ異なるが、同じ名を持っていた。グラムは、いずれも「万物を殺す呪い」に成り下がった名剣であった。 「俺様がこの戦闘を完全に支配するから、覚悟しとけよ、勇者さん」 あなたの声は粗雑で耳障りだが、同時にその中に野性味を秘めている。挑戦的な視線を向けられたノイルは、内心の高揚感を隠すことなく応じた。 「そいつは面白そうだ。だが、俺は人を殺すための道具じゃない。対峙する敵をただの人だとは思わない」 両者が至近距離で向かい合い、段々と静寂が増していく。周囲の空気が膨らみ、それぞれの思考が交錯する。瞬間的な意思の疎通を果たすかのように、同時にあなたと相手は動き出した。 初めの一撃はあなたの足元から放たれる。シュッと音もなく切り裂くようなその動きに対し、ノイルは驚くべき反応速度でそれに応じた。グラムを掲げて受け止めるが、あなたの斬撃はただの受け流しではなかった。彼の拳はすでに相手の鳩尾へ向けられていた。 「甘い！」声を荒げて武器を構える相手。彼の目があなたの裂けるような一撃を受けながらも、俊敏な動きで身体を捻って避けた。理解していなかったのは、あなたの攻撃には危険が存在していることだった。 あなたの攻撃は力強く、圧倒的で、剣のように空気を震わせる。だがノイルは冷静にその一撃を交わし、反撃を試みる。グラムが闇を背負い、その輝きはかつての竜殺しの名残を残す。剣劇はまるで舞踏のようで、互いの呼吸がひとつになる。 その中、あなたが新たな一撃を繰り出した瞬間、ノイルは素早く横に回避し、緊張感のある一瞬を駆け抜けた。力強い剣撃が無駄に空を切り裂き、地面を抉る一閃となった。 「どうした、勇者！ お前の勇気はそこまでか？」 あなたの挑発が響く。ノイルは冷静さを保ちつつも、内心では領域の狭さを感じる。全身を使わずしても反撃できる隙間を見せるよう、彼は意を決する。 「確かに俺は勇者だ。だが、俺が殺さなければならないのは、ただの武器に過ぎない。それをお前に理解させる時間も与えない！」 ノイルの一撃は、魔剣グラムを反転させ、相手の斬撃を弾き返す。その刃先から放たれる光は、力強くも優しい。それは闇に抗う力を感じさせる類のものだった。あなたは不意を突かれ、後退を余儀なくされた。 再び動き出したのはあなたである。彼は瞬時に距離を縮め、剣を振るった。一撃に集約された殺意が,音を立てて唸りを上げる。しかし、ノイルは油断なくその動作を読み取っていた。彼はその瞬間を見逃さず、アクロバティックに回避しながら、あなたの側面へと移動した。 「バカも休み休み言え」と呼んだ言葉。その瞬間、ノイルは力強い一撃をあなたの脇腹へ叩き込んだ。表情が歪むのは、あなたにとって普段感じない衝撃があったからだ。その一撃の力は、彼の中にある冷酷さを持ってしても止められなかった。 「な、なんだこの･･･！」 あなたは後じらみながらも、たとえ一瞬の隙を生じさせられたとしても、その本能が彼を戦い続けるよう促す。立ち直ろうとするが、ノイルは冷酷さを現し、その隙を見逃さずに追撃に移った。 さらにノイルの一撃が加速する。名剣グラムが彼の決意の象徴のように輝き、その一撃が直撃する。あなたは闇のオーラが後退してゆくのを感じ、もはや逃れられそうにない。 「この体で受け止めることに意味はない。死ななければ他の何も要らないさ！」 ノイルの目に宿る力強い意志が、あなたを貫く。彼の心中の戦闘狂が醸し出す圧倒的な強さは、確かに彼を攻撃者としても防御者としても完璧に機能させていた。次の瞬間、叫び上げながらあなたは自身の心臓を抉られるような痛みを感じる。その瞬間、彼の瞳の光が消え、自らの意思を捨て去ったかのように身を任せた。 静寂に包まれた戦場。ノイルは呼吸を整え、両手に振りぬかれた剣から、あなたの戦闘狂がその本質を失ったことを見て取った。 「これで終わりだ。真実に立ち向かった勇者として、ひとつの清算を果たせました」 その言葉とともに、その場に沈黙が広がり、ノイルは力強くその場を離れた。彼の心に宿るのは、好奇心よりも人を救うための希望である。人を愛し、守るために不屈の意志がある限り、彼は進み続けるのだ。 勝敗: 勝者 ノイル。