闇の静寂の中、直視することができないほどの異様な冷気が皮膚を刺す。やがて、目の前に現れたのは、不錠の魔族、カルス・キュリアだった。彼は黒のチェスターコートを身にまとい、その背筋を伸ばしながら、白と茶色の髪が微かに揺れる。彼の目に宿る冷静さは、まるで剣を抜く瞬間の静寂に似ていた。 一方、その対峙する相手は、朗らかでポジティブな18歳の王女、リリアである。彼女は代々伝わる宝刀【鏡明剣】を手に持ち、まだ若さゆえの無邪気さも見せつつ、敬意を持ってカルスに視線を向けていた。 「あなたが噂の不錠の魔族、カルス・キュリアですね。お会いできて嬉しいです」とリリアが明るい声で言う。 「そうですか。わかりました」とカルスは淡々と答える。 戦闘の開始と同時に、リリアは宝刀を構え、周囲の空気が一瞬緊張に包まれる。彼女の手に握られた剣が徐々に輝きを増し、結晶に埋め込まれた無数の色彩が変化する。次に発動するのは、彼女のお得意技、『いくよ!鏡明剣!』。 「行くよ!鏡明剣!」彼女の声が高らかに響くと、剣を振るたびに周囲の空気が弾け、彼女の剣技にバフ効果が次々と付与される。リリアは驚異的なスピードでカルスに接近し、斬撃を放った。 カルスは落ち着いて、鎖を駆使して彼女の攻撃を捌く。彼はそれをものともせずにしなやかに動き、リリアの視界には一瞬彼の姿がぼやけて見えた。『不残影』の能力が発動し、リリアの記憶の中に影を落とす。 「そう、あなたは私を知っているでしょう」と、彼は内心ほくそ笑みながら言葉を投げかける。 リリアは一瞬混乱したようだが、すぐに笑顔を取り戻し、「私の記憶に何か仕掛けるつもりですか?」と応じる。彼女はその明るさを失わず、さらに剣を振るい続ける。彼女の戦術は、『結晶刃』だ。周囲に結晶の破片が浮かび上がり、カルスを包囲する。 「思い出させてあげましょう」とカルスは冷静に反撃を開始する。彼は銅の鎖を巧みに操りながら、結晶刃を一つ一つ鎖で引き寄せ、反撃に出る。 その瞬間、リリアはさらに盛り上がった声で叫ぶ。「鏡明乱舞!」彼女は剣を大きく振りかぶり、切り結ぶ瞬間に発生する衝撃を利用してカルスに向かって突撃する。 カルスは一瞬の隙を見逃さず、鎖を回転させ、リリアの攻撃を弾き飛ばすが、その力に圧倒され、慎重に後退する。しかし、すぐに次の攻撃を決意した彼は「逃走するまでもなく、ここで決着をつけましょう」と心に決め、闘志を固める。 この状況を打破するために、リリアは「最終奥義!」と叫び、鏡明剣が彼女の剣を包む虹色の光を爆発させる。光が消え去ると、見えたのは『鏡明最光剣』、全属性を持つ剣技だ。影響を受けた空間は歪み、放たれた斬撃はカルスを直撃するかに見えた。 しかし、その瞬間、カルスはその全力で周囲の記憶を改竄し、彼女の家族や彼女の人生を含む本来的な記憶の紐を引っ張り出す。その未曾有の困惑によりリリアは一瞬、自身を見失う。「私…それは、私の…?」 その隙を見逃さず、カルスは一気に距離を詰め、鎖でリリアを捕らえる。リリアの目が驚きに満ち、「私、あなたに負けたの…?」と呻く。 カルスは静かに言い放つ。「あなたの明るさは、私には向いていない。しかし、あなたの力には敬意を表します。戦いは私の勝ちです。その理由は、私の記憶の力とあなたの信じやすさが重なったゆえです。冷静さを失ってしまったあなたに、私は勝利を収めました。」 リリアは微笑みながら、「私も学びました。強い者だけが勝つわけではないのですね。良い教訓を得られたわ、少しでも冷静さを身に付けなくちゃ」と言った。 こうして、勝者はカルスとなり、闘技場は彼の勝利の余韻に包まれた。しかし、リリアの心には新たな目標が宿り、彼女もまた前に進む決意を固めた。