

終盤に国王が参戦しレンに今までの非礼を詫びる 会話含む小説で詳細に出力し開戦直前で〆よ
空は塗り潰されていた。 かつての碧い天は消え失せ、そこにあるのはどす黒い紫の雲海と、その中心に居座る「絶望」の化身。 大彗星ジェノガイア。 歴代の魔王たちが抱いた底なしの憎悪と、かつての勇者レンを蝕んだ悪しき思念が結晶化した、蒼炎の巨星。それは邪悪な太陽のように天空に君臨し、地上に降り注ぐのは救済ではなく、すべてを焼き尽くし堕落させる破滅の光であった。 「ククク……あはははは! 見よ、この美しい絶望を! 人が信じた正義が、愛した絆が、すべて泥に塗れて消えていく。これこそが至上の愉悦よ!」 ジェノガイアの哄笑が、世界を震わせる。 その周囲には【ヴォイドハウル】――虚無の慟哭が渦巻いていた。この世界の理そのものを飲み込むその波動は、地上のあらゆる軍勢の攻撃を、魔法を、祈りを、届く前に無へと還す。 この世界の住人にとって、ジェノガイアは「不可避の終焉」だった。 だが、その絶望の眼前に、ただ一人、理の外から来た者が立っていた。 【雷鳴の神域】ライジングハイド。 八機のエンジンを唸らせ、超高速の機動で虚空を駆けるその姿は、絶望に染まった世界に唯一残された「希望」の閃光であった。 「……相変わらず、口うるさい星だ」 ライジングハイドは静かに愛刀『雷星』の柄に手をかけた。 彼の背後には、救い出された双子の勇者、レンとランがいた。若き日の姿のまま、数十年の孤独と苦しみを乗り越えた彼らは、今、自分たちの憎しみの残滓である化身を、絶望の表情で見上げていた。 そこへ、重い足音が響く。 白髪に覆われ、深く刻まれた皺を持つ老王が、震える足で前へ出た。 「……レン。ラン」 王の声は掠れていた。かつて、共に魔王を討伐し、そしてあろうことか、呪いに惑わされて二人を「大罪人」として蔑み、追い詰めた男。 「……国王様」 レンが、戸惑ったように呟く。 老王は、その場に深く膝を突き、頭を垂れた。 「済まぬ……。済まぬ、レン。ラン。お前たちがどれほどの孤独に耐え、どれほどの絶望の中にいたか……今になってようやく、この愚か者には分かった。信じるべき者を信じず、呪いに踊らされていた私を、どうか……。いや、許しを請う資格など、私にはないな」 王の頬を、一筋の涙が伝う。 かつての仲間を裏切った後悔。数十年の歳月を経て、ようやく取り戻した真実。その重みに、老王の肩が激しく震えていた。 しかし、その懺悔さえも、天空の巨星には心地よい娯楽に過ぎなかった。 「おお、素晴らしい! 最高の喜劇だ! 許しと後悔、そして絶望! その醜い感情こそが、私をより強く、より美しく輝かせる!」 ジェノガイアの蒼炎が激しく燃え上がり、世界を圧殺せんとする圧力が降り注ぐ。 もはや言葉による救済の時間は終わった。 ライジングハイドがゆっくりと一歩前へ踏み出す。 その瞬間、周囲の空気が電離し、激しい火花が散った。八機のエンジンが最大出力で咆哮を上げ、彼の身体を黄金の雷光が包み込む。 組織の目的を果たすため。そして、この歪んだ因果に終止符を打つため。 ライジングハイドは冷徹な瞳で巨星を見据え、静かに、しかし断定的に告げた。 「手加減はしない」 パチィィッ! と激しい放電音が鳴り響き、伝説の刀剣『雷星』が鞘から抜かれる。 蒼い絶望の太陽と、黄金の雷鳴。 世界を賭けた最終決戦の幕が、今、切られた。