「我がヒガシノの為に。」 ——— "闇に溶け込んだ。" 物心がついた時から、拙者は忍びであった。 "風下。臭いで見付かる心配は小さい。" 我等がヒガシノを悪しき国々の手から護る為。 "目標が街へ出た。通行人を装い後をつける。" 生まれ持ったチカラ。刀を生み出すチカラ。 "路地裏に入っていく。芋づる式に協力者を見つけられる?好都合。" この国の為にあるチカラ。 "目標が会話している。二名纏めて。" 源は知らず。 "落ちていた塩ビパイプを見た。手を握り、広げる。塩ビパイプは消え去り、手にはチープな忍刀。" 理屈も解さず。 "呼吸が止まる。三人の内、まず一人。気配を消さんと自ら止めた。" しかし、それで良し。 "呼吸が止まる。三人の内、二人目。音もなく駆け寄った漆黒に、振り抜かれた鈍い灰に、肺の数を倍に増やされた。" 訳なぞに興味は無し。 "漆黒が屍を蹴り上がる。返り血を一切浴びていない。手には紅い刀。" 只、国の為に活かすことができるなら。 "呼吸が止まる。三人の内、三人目。大上段から落つ赤黒い刃。一刀両断。" それ以上、求めるものも無し。 "呼吸が戻る。三人の内、一人。"