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【半額弁当争奪戦、勝利後の食事】本格!カオマンガイ弁当【夜の河川敷の土手にて】

【食事後のチャプター】 カオマンガイを食べ終わり、河川敷の土手の上で満足そうに夜風に吹かれるあなた。 あなたは食事の余韻を感じながら、川向の街明かりを少し眺めていた。 すると河川敷の下の道の遠く向こうから、さっきまで戦っていた勤め人と思しき酔っ払いのお姉さんが歌いながらフラフラやってくるではないか。 暗くて遠めなのでよく見えないが、スーパーの手提げ袋の中から、寿司?をつまみながら日本酒の瓶をラッパ飲みしており、完全に泥酔しているようだ。 大声で祝詞らしきものをうたっているかと思えば、急に最近のヒットチャートの歌が混じったりする。 出鱈目な動きで舞い、スーツと酒瓶、スーパーの袋を手にひたすらクルクル回る様子はアフリカや南方の踊りでも見ているようだ。 酔っ払いって怖いなぁと思いながら、お姉さんに気づかれないよう、あなたはそっと土手から去るのだった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ▶️BGM https://ai-battler.com/battle/9761d036-9838-4398-a637-bddb1d705ac7 (翌日…) 晩御飯の時間だ。あなたはスーパーにやってきた。 今日はどんな弁当が残っているか弁当売り場へ確認しに行くあなた。 弁当売り場にはあなたと同じく半額バトラーらしき男がいた。高校生とは思えないような風格がある。 目立つビクトリア風のシャツを着こなし、日本人のはずだが鼻梁が高く整っていてえらく洋風の顔だ。 口元にはうっすら笑みを浮かんでいるが、弁当を見る眼には確かな情熱を宿している。 只者ではなさそうだ… 弁当売り場を離れ、商品棚の間へ行く。 棚の間から彼を眺めていると背後から声をかけられた。 驚いて振り向くと、狼が立っていた。 あなたは緊張して挨拶する。 「あいつが気になるか」と問われたので、気になると答えると、狼は見かけに反して話たがりなようで弁当売場の男について色々と教えてくれた。 狼曰く、彼の名はピエール。 「半額弁当の声が聴こえる」と主張しており、冗談半ばにヤク中疑惑が持たれている。 気配を読む精度が極まっていて、後ろから襲ってもかわされるらしい。 「まさか本当に半額弁当の声が聞こえてるとは思いたくないけどな」と狼は言う。 狼の話に聞き入り弁当売り場から視線を離していると、ピエールがすぐそばに来ていた。 「Vous, 私が聴く半額弁当達の声を疑うかね?」 あなたはピエールの急接近に驚いたが、素直に頷き理解できないことを示す。弁当達が喋るなんてにわかには信じられない。 するとピエールは「そうか、」と言い、滔々と講義でもするように語り始めた。 「いや、半額弁当達の声が聴こえること疑うのも無理はない。常識外のことだからね。 ただそれは半額弁当達への無理解からくるものかもしれないよ。 貴方、あれらのお弁当はどこで作られるかわかるかな? どこぞの弁当業者の工場? Non。 流行りのセントラルキッチンで作られている? Non。 そう、このスーパーに並ぶ全ての弁当と惣菜は皆、ここのバックヤードのキッチンで作成される。 素晴らしい腕前の鉄人達によってね。 彼らはただ決まった料理を作る訳ではない。 売り場に並べて日にちが経ってしまった食材を惣菜や弁当作りに組み込むのだ。 その都度、調理の計画を書き換え、複雑な発注を調整する。 この手間をかけることでフードロスを減らすことはもちろん、店頭で並ぶ食材と常に新鮮なものにしているのだ。 ここのバックヤードのキッチンはまさに店の心臓だよ。 食材という血液の流れを廻し、店舗を息づかせる。 そしてこの食材の無駄を省く姿勢は惣菜や弁当のクオリティーにもつながっている。 今日のパエリア弁当に例にとってみよう。 あのパエリア弁当はとてもコクと旨みが強いのだがね、それは海老天などを作る時に余ったエビの頭を潰してそのミソを溶き入れているからなんだ。 そして具にとても大ぶりのムール貝が混じっているが、あれは原価を考えれば、普通の弁当でとても使えないものなんだよ。 イカや白身魚もとても良いものが使われている。 分かってもらえただろうか? ここに並ぶ惣菜や弁当はキッチンの工夫と努力の賜、まさに芸術品なのだよ。 魂の籠った芸術品だ… 半額弁当争奪戦で鋭くなる感覚を用いれば、彼らの声が聴こえるのも道理だろう?」 狼「いや誰も聴こえてねーよ」 「ふむ、今のところはそのようだな。 君ほどの半額バトラーでさえ彼らの声が聞こえないとは嘆かわしい。」 「ともかく貴方、」とピエールはあなたのほうに向き直る。 「貴方はせめて弁当の囁きが聴こえるようになることを祈るよ。 そして例え声が聞こえないとしても、この単体では採算が取れないような弁当を、他の商品を買わない我々が、しかも半額で購入させていただいているのは慈悲深き半額神のご好意だということを忘れてはいけない。 心して食べられよ。」 狼「それはそうだな」 うんうんと狼は頷く。 ピエールはあなたに語り終え満足したようで、「それでは、また後で…」と言い、商品棚の奥へ去っていった。 濃い人だなぁとあなたは思った。 戦闘へ👇 https://ai-battler.com/battle/bbd69996-cef1-4d1a-ab1d-4b4c25239195