バリアを貼るくらいしか出来ないけど 16歳の頃から特殊部隊として 主に得意とするコンピュータの操作や、 智力や計算能力を駆使した 作戦指導などを担当していた。 単体での戦闘能力は一般人に近く、 拳で石を叩き割るのが限界な程に貧弱。 バリアを貼る能力を持つが、 同僚のライジン等は速度が武器である為、 仮に後方支援に徹したとしても あまり役に立つ事は無い。 男でありながら 丸々とした色白の少女の様な顔で、 声や髪型と相まって女性に 間違われることもしばしば。 性格も、意地っ張りで野心があるが、 ひねくれ者でもあり、どこか弱々しく、 女子力は無いのに女々しい。 外面ではゆる〜い感じに振舞っている。 長く共に戦ってきたライジンとは 殆ど打ち解けてあり、 ユールを女扱いして揶揄う ライジンを雑にあしらう様な関係。 ユールは幼少期の頃、 軍人だった母親は戦死してしまい、 父親と2人で暮らしていたが、 父も仕事のために働きに出て、 会話することも出来ず、 言葉も持たない内向的な子となり、 友達を作る事は出来なかった。 それを見かねたとある少女が居た。 その少女はやたら男らしいのが有名で、 近所でもガキ大将と呼ばれる存在だった。 最初は彼女にとってユールの性格が 気に入らないが故に、 悪戯やちょっかいを出して 揶揄ったりしていたのだが、 彼があまりにも貧弱なので、 無自覚の内に、男らしい少女の中に、 断片的な庇護欲が湧いてしまった。 それでも子供であり、友達となっても どうすればいいのか分からず。 とにかく、一緒に遊んで、一緒に笑って 一緒に自分が変な人なのを嘆いたりもした お互いに、心の中では親友と思える程に 仲を深めていったが、そんな時、 とある事件に関わる事になった。 ある日、ユールがいつものように、 遊ぶ約束をした公園に行こうとした道中で 突然背後から現れた謎の人物に 取り押さえられ、身体を紐で縛られて、 誘拐される所だった。 ユールがかつてない程猛烈に抵抗しながら 助けを呼び叫ぶと、彼女は全速力で 駆け付け、誘拐犯の前に立ちはだかった。 男らしいだけでなく、勇猛で正義感も 戦闘でも強い彼女だったが、甘かった。 すぐに誘拐犯の仲間が数人湧いてきて、 辛うじてユールの拘束を解いたものの 彼女の身体は既に傷だらけだった。 近くに人が居るような場所は無く、 助けを乞うことも出来ず、 ただ逃げ惑う中、 彼女は諦め、決意をした。 「ユール、お前だけでも生きるんだ!」 最初で最後の友を、 最初は嫌っていた彼を、彼女は 生きて欲しいという想いで突き放す。 そんな別れはお互い望まない。 それでも、このままでは何も残らない。 彼女は鬼気迫る表情で怒声を送り、 ユールは涙を浮かべながら走り去った。 反対に彼女は敵に立ち向かって行く。 最後の別れは劇的で、呆気なくて、 さよならを告げる事も出来なかった。 また会うことはできるのだろうか。 会ったらどんな顔をすれば良いか。 そんな事を気にする必要は無かった。 彼女の親に、死を告げられたからだ。 その時彼の中に、 生まれて初めて恨みを持った。 彼女を殺した者達に、それ以上に 無力だった自分自身に。 彼女が遺してくれたものを背負い、 生きる決意を抱いた。 弱かった自分を、愛してくれた彼女を、 人生も、心も。 「失いたくない、 だから戦うんだ。 あの子の戦いを、 無意味なものにしてたまるか...!」 その思いこそが、 バリアを貼る能力の根源となっている。