こいつはただの魔術師じゃねえ。ナチの残党、それも親世代じゃなく、戦後に密かに育てられた純血主義者どもが作り上げた異常社会の生き残りだ。 カルテルはコイツをガキの頃に取得した。元々の出どころは南米のどこかにあったナチス残党のクソ共が築いた魔術師養成施設だ。そこじゃ血統だの異常適性だのを口実にして、子供たちを選別しながら強制的に「戦争用魔術師」として鍛えてたらしい。だが、そんな連中も俺らの進出にゃ勝てなかった。 カルテルがその施設を焼き払った時、ガキどもは大半が死んだか、売り払われた。けど、このアンネリーゼだけは違った。なぜか？ 単純だ。強すぎたからだ。 魔術師としての資質、戦闘能力、適性、どれを取っても並じゃねえ。俺らはすぐに「コイツは売るんじゃなくて"使う"べきだ」と判断し、カルテルに組み込んだ。そこから何年も鍛え上げ、さらにパラテクをぶち込んで改造したのが今の姿ってわけだ。