「さて、ひとまず彼を撃退することには成功したわけだが…」 「全てを聞かせて貰おうか、「鉄拳山刑事の革を被った者」である、君の口から」 名探偵、テイバー・ラックライヤーの目は確かに「その人物」の姿を捉えていた 「…いつからわかっていた?」 ため息と共に彼は問いかける 「初歩的なことさ、友よ。」 「最初にこの町に訪れた僕への態度、明らかに人間離れした動き、そして…」 「今の君の痕跡は以前の彼とは明らかに違っていた。つまり、君は「本物の鉄拳山刑事」ではない。」 テイバーの言葉を聞き終わると「彼」の姿が光に包まれ、別の姿に変わっていく… 「つまり最初から全てお見通しだったという訳か、名探偵。俺は君の実力を甘く見ていたようだ。」 「彼」は丈の長いトレンチコートを翻し、ハットを被り直した 「こういった潜入捜査には慣れていなくてな。少し派手に動き過ぎたかもしれん。」 「さて…君の正体がわかったところで、君の目的を教えて貰おうじゃないか。」 「もっとも、ある程度の予想はできているのだが…」 「彼」はガスマスク越しにもう一度ため息をついた。 「君や彼らと同じさ。元は「別件」でこちらに来たのだが、俺としては少々見過ごせない事態になっていてね。」 「ていうと君も僕と同じ「来訪者」だったという訳だ。」 「あぁ、そういうことに…」 その瞬間辺りから悲鳴が響き渡る… それだけじゃない。 同時に獣のような唸り声をあちこちから響いてくる… 「まずいな、時間がない。」 「彼」はテイバーに向き直ると告げた。 「依頼を頼めるか?名探偵。」 「ぜひとも内容を聞かせてくれるかい?「フィクサー」?」