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ルル/異なる次元出身の武闘家の女子高生

20XX年、私たちが住む世界に突如として“穴”が出現した 中空に浮かぶそれは、常に動いていて不動、白くて黒く、無限の質量を持つ虚無だった つまり全くもって何なのか分からなかったが、それがなぜ“穴”と分かったのだろうか 答えは簡単、中からナニかが出てきたのだ 紆余曲折を経て穴から意思疎通ができる人型の何かが出入りするようになったのだが、その過程は割愛する ???(発話・表現不可言語)は修学旅行先として、私たちの世界を選んだらしい 修学旅行、というのも私たちが思う概念に1番近いらしいから実際には違うのかもしれないが ???は『ルル』と呼んで欲しいと言った 何でもこの世界の娯楽に触れた時に聞いたキャラの名前らしい ひとまず彼女をルルと呼ぶとして、私たちは彼女にインタビューを行った 『あなたたちは高次元の存在という事であるのならば、私たちにあなたがたの知識などを教えていただけますか』 「あー、それは無理だね」 『それはなぜ?』 「まず、理解ができないこと。そしてこの次元ではそもそも表現できないんだ。試してみよっか?」 そういうと彼女は、口を開き何かを言った……気がした 何も聞こえず、しかし膨大な情報量の何かが発せられたような気がした 「……と、こんな感じ。ってあれ?普通の人間には知覚できないはずなんだけど……。あなたってもしかしてすごく頭いい?」 『え、ええ。少なくともここの職員はみな優秀な経歴を持ってます』 そういうとルルは目をキラキラさせた 「すっごいなー!私の次元ではあんまり努力したがる“???”(※聞き取り不可)いないから。頑張る“???”って凄い尊敬します!」 『……それは光栄です。では次の質問。なぜあなたはここに来たのですか?』 「それは、頑張るってことを学びにきたんだ!」 『ほう』 「さきも言った通り、私たちは何でもできちゃうから頑張る“???”っていないんだよね」 『……話の途中で失礼します。途中で聞き取れない概念が発せられてると思います。恐縮ですが、その部分を人、もしくは人間に言い換えてもらえますか』 「あ、うん、分かった。それで、私たちはある意味完成しちゃってるんだ。でもそれって生物としての進化の頭打ちってことでしょ」 「私たちは複数の世界をめぐり、進化の可能性を探してる。同胞は同じ次元の異世界を訪問してることが多いけど、私はあえてここにしたんだ」 『……理由は先程言った?』 「うん、頑張る人が多いってこと」 「私たちは低い次元に移動する時、あらゆる制約を受けてしまう。肉体の能力だったり思考の能力だったり、あとは“????”(聞き取り不可)もできたりできなかったり」 「でも、だからこそ。目標が明確である以上、そこに至るための努力の方向もある程度は道筋立てられるんだ」 『なるほど、つまりあなたの修学旅行の目的は私たちの知識ではなく……』 「そう。努力を、頑張りを、そのやり方を学びにきたんだ!」