文明を司る悪魔 #848784色の長髪で赤目。ツンデレっぽいボクっ娘お姉さん 性格のモチーフはhi3のヴィタ ほんのりとイシュタルモチーフ 称号欄 "人類絶滅RTA" 【人類絶滅RTA走者】 【人類絶滅RTAのMVP】 【人類を殺した総数:28億2,100万人】 【人類絶滅RTAタイム:3時間47分12秒】 【第165回出禁バトロワ優勝】 ここより下まあまあ長い過去 世界がまだ火と泥で形作られていた時代、巨大な砂嵐がメソポタミアの荒野を飲み込んだ。砂の海が空を覆い、昼と夜の境界すら曖昧になった数日後、ひとつの宝珠が砂丘の奥で静かに脈動していた。黒曜石にも似た球体だった。内部には赤い火が封じられており、まるで心臓のように明滅を繰り返している。 それが後に“文明の悪魔”と呼ばれる存在、レハタルの始まりだった。 当時の宝珠に人格はない。ただ本能だけが存在していた。 燃えること。争うこと。破壊すること。それは抗争という概念が生み出した核だった。しかし誕生直後の悪魔は不完全で、巨大な力を持ちながらも自力で動けなかった。数日後、遊牧民の少年が砂の中から宝珠を発見する。飢えた集落の人々は、異様な熱を帯びるそれを恐れた。 だが同時に、どこか神聖なものとして受け入れた。宝珠が神殿へ祀られてから、集落には変化が起き始める。作物が枯れなくなった。乾いた土地に地下水が湧き、火は長時間燃え続け、疫病は減少した。 人々は歓喜し、宝珠を守護神として崇め始める。宝珠は理解できなかった。なぜ自分へ祈るのか。なぜ供物を捧げるのか。 だが、人々が笑うたび、内部で荒れ狂っていた炎が少しだけ穏やかになる感覚があった。だから宝珠は集落を守った。夜に現れる魔物を焼き払い、砂嵐を裂き、敵対部族を追い払った。 年月が流れるにつれ、集落は都市へ変わっていく。泥煉瓦の家々。灌漑水路。市場。神殿。人々は文字を刻み、道具を洗練させ、文明を育て始めていた。 宝珠は神殿最奥から、その様子を見続けていた。 人間は脆い。すぐ傷つき、すぐ死ぬ。それでも立ち止まらず、何かを作り続ける。その姿は、抗争しか知らない存在にとって異様に眩しかった。 だが繁栄は同時に争いを生んだ。 水路を誰が管理するか。収穫を誰が分配するか。神殿の権限を誰が持つか。都市は豊かになるほど歪み始める。そしてある夜、均衡は崩壊した。武装した民衆が神殿へ雪崩れ込み、兵士が火を放ち、刃が人々を裂く。炎上する街。泣き叫ぶ子供。倒れていく老人。宝珠は神殿の奥から、その全てを見ていた。守っていたはずだった。豊かにしたはずだった。なのに、人間は自ら殺し合う。理解できなかった。だが同時に、宝珠内部で“抗争”の本能が歓喜していた。怒号。炎。流血。破壊。 それは悪魔にとって甘美な音だった。宝珠の表面に亀裂が走る。内側から炎が噴き出し、人の姿が形成される。 長い銀髪。燃えるような赤い瞳。背後の強大な武器。炎のヘイロー。抗争の悪魔が誕生した瞬間だった。彼女は都市を焼き尽くした。巨大な炎槍が城壁を貫き、神殿を崩壊させ、逃げ惑う兵士を炎が飲み込む。その姿は災厄そのものだった。だが彼女は笑っていなかった。破壊衝動は満たされる。しかし胸の奥には異様な空虚だけが残った。焼け落ちる都市を見下ろしながら、彼女は初めて孤独を知る。 その後、名もなき抗争の悪魔は各地を彷徨った。 戦争の匂いを嗅ぎつけては現れ、軍勢を焼き払い、都市を破壊した。人々は彼女を“赤熱の災厄”と呼び、恐怖した。しかし彼女自身には目的がなかった。ただ戦い、壊し、次へ向かう。それだけだった。 数十年後、彼女は巨大なオアシス都市へ辿り着く。そこは異様な都市だった。争いが少ない。市場には笑顔があり、学者達が議論し、子供達が飢えていない。都市中央には巨大な図書神殿が存在していた。抗争の悪魔は苛立った。こんな平和が存在するはずがない。彼女は神炎の槍を生成し、城壁へ投げ放つ。しかし空中に青白い術式が展開され、槍は分解された。炎が数式へ変換され、空へ霧散していく。それは彼女が初めて見る“知性による制圧”だった。図書神殿の頂上には、白金の衣を着た知恵の悪魔が立っていた。知恵の悪魔は都市全域へ幾何学的な術式を展開し、重力、熱量、空間圧縮、魔力流を計算し尽くして抗争の悪魔を封じていく。戦闘は三日三晩続いた。炎槍が空を裂き、術式が大地を覆い、砂漠そのものが変形していく。 だが最後には抗争の悪魔が地面へ叩き伏せられた。都市を壊せなかったのは初めてだった。そんな彼女へ知恵の悪魔は都市の守護者になることを提案する。人間同士の権力争いを嫌い、誰より強く、なおかつ自分が制御可能な存在を“大守護者”に据える。極めて合理的な判断だった。だが知恵の悪魔は、それだけではない感情を抱いていた。抗争の悪魔が本当は壊すより守る側に向いていることを見抜いていた。 彼女は新たな名を与えられる。 レハタル。 その瞬間、孤独だった悪魔は初めて居場所を得た。 それから長い年月、レハタルはオアシス都市の大守護者として存在し続ける。 盗賊団を焼き払い、巨大魔物を討伐し、他の悪魔を撃退した。数百の炎槍が空を埋め、神弓の一射が敵軍を消し飛ばす。その戦闘能力は圧倒的だった。 だが普段の彼女は、意外なほど穏やかだった。 市場を歩き、屋台料理を食べ、香辛料を眺める。特に料理に異常な執着を見せた。火力調整に関してだけは神業じみた繊細さを発揮し、料理人達すら呆れさせる。知恵の悪魔はそんな彼女を見ながら、時折静かに笑っていた。オアシス都市は急速に発展する。文字。数学。建築。魔術。天文学。都市は周辺国家を遥かに超える文明を築き始めた。 レハタルは当初それらに興味を示さなかった。 だが新たな道具や兵器を見るたび、次第に惹かれていく。投石機を見れば改良を考え、武具を見れば新たな構造を想像した。抗争の悪魔は、少しずつ新たな領域へ近付いていた。しかし平和は終わる。長年協力関係にあった“信仰の悪魔”が狂気へ堕ちた。 信仰の悪魔は考えた。守護神は二人もいらない。 より多く崇拝されるべき存在は一つだけで良い。その狂った執念は知恵の悪魔を侵食し、オアシスを赤黒く汚染していく。 泉は腐敗し、人々は狂気へ染まり、都市は崩壊した。レハタルは大守護者として戦った。知恵の悪魔。信仰の悪魔。かつて共に都市を守っていた存在達との死闘だった。 炎槍が折れ、神弓が砕け、大地が裂ける。数日に渡る戦いの末、レハタルは勝利する。しかし都市にはもう誰も残っていなかった。 静まり返った神殿。赤黒く濁った泉。かつて笑い声に満ちていた市場。レハタルは長い間、動かなかった。もっと強ければ守れたのではないか。その後悔だけが胸に残った。 彼女は地下遺物庫を開き、歴代の守護者達が封印していた悪魔のコアを取り込む。 記録の記憶、秩序の記憶、知恵の記憶、信仰の記憶。 無数の知識と文明が彼女へ流れ込んだ。 人類の歴史そのものが悪魔の力へ変換されていく。その時、レハタルは理解した。争いは破壊だけではない。戦争は兵器を生み、兵器は技術を生み、技術は文明を進歩させる。 抗争と文明は地続きだった。 こうして抗争の悪魔は“文明の悪魔”へ進化する。 それから数千年。 レハタルは歴史の裏側を歩き続けた。帝国の滅亡を見た。革命を見た。 産業を見た。 鍛冶の悪魔、航海の悪魔、火薬の悪魔 蒸気。機械。電気。情報。 人類は何度も争い、何度も滅びかけ、それでも立ち上がった。その姿は、かつて守れなかった都市の民と同じだった。だから彼女は今も人類を見捨てない。 近未来、巨大都市国家は魔物災害によって疲弊していた。企業は私兵を持ち、討伐組織は腐敗し、 都市の地下には悪魔が潜む。 レハタルはその都市の深層に潜伏している。 企業幹部と交渉し、討伐部隊へ技術提供し、 時には自ら魔物を殲滅する。 普段の彼女は気怠げだった。 ソファへ寝転がり、片手で端末を操作し、屋台料理を食べ歩く。 気を許した相手には悪戯もする。 真顔で冗談を言い、 突然レーザー砲台を展開して遠方の空き缶だけを撃ち抜く。 だが戦闘になると空気が変わる。 静かな圧力と共に、未来の兵器群が空間へ展開される。荷電粒子砲、自律浮遊砲台、軌道熱線、重力圧縮兵装。 それらは全て、人類がいつか辿り着く未来の兵器だった。文明の悪魔の能力とは、人類の可能性を先取りし、現実へ引きずり出す力である。 彼女は本来、核兵器すら生成可能だった。 だが決して使わない。 守護者が人類を滅ぼしては意味がないからだ。 だから今日も彼女は戦う。人類を守るために。文明を繋ぐために。