彼女の役割は創造と自由、変化、そして誘導者としての役割もあった。 しかし、そんな彼女も時代の移り変わりか、仕事は全て眷属たちがこなし、自身は一人森の奥の小さな家でひっそりと暮らすなんとも退屈な日々を送っていた。 そんな彼女に一通の手紙が届く。 運んできてくれた鳩に礼を言い、開けてみれば”世界”からの依頼であった。 「ほう、あやつから手紙が来るとは。なかなか長生きをしてみるものだな」 そうクツクツと笑い、”世界”に嫌味を言いながらも、どこか嬉しそうに手紙を読み進めていく彼女の表情は次第に変化していく。 一旦手紙を閉じて、もう一度初めから読み直す彼女。 「どうやら見間違いではないらしい。あやつ、本気で言っているのか? ……ククク。そうか! そうか!」 それだけ言い、彼女は思い立ってように手紙を机に放り投げて、簡単な身支度だけ整えると、嵐の如く小さな家から飛び出して行った。 雑に机に置かれたその手紙にはこう書かれていた。 『お久しぶりですね、”魔術師”様♪ こちらはー(中略)ーよって私のお城をつくろうかと思っています♪ どうですか? 貴女も……いえ、貴女にはこう言いましょう。再び貴女の力が、知恵が、決断力が必要です。どうか手伝ってはくれませんか? ーー貴女の好敵手の”世界”より』