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SCP-003【有機的マザーボード】(成長途中)

オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-003は少なくとも35℃以上、理想的には100℃以上の恒温条件下に保持してください。カテゴリIV以上の複雑性を有する多細胞生物をSCP-003に接触させてはなりません。 封じ込め施設に全面停電が発生しSCP-003-1が質量を増し始めた場合、担当職員はSCP-003-1と皮膚接触を行わなければなりません。体温によってSCP-003-1を臨界温度以上に維持するのが理想的ですが、皮膚接触はSCP-003が活性化温度に達した後も、少なくともSCP-003-1が第二段階の成長に移行するまでは続けねばなりません。 SCP-003封じ込めエリアに入る職員は、最初にカテゴリIV以上の複雑性を有する寄生虫の寄生を受けていないか検査し、結果に応じて駆虫を行わなければなりません。SCP-003-1と身体的に接触した全ての職員は直ちに報告し除染を受けてください。 上記の緊急時を除き、SCP-003-1をSCP-003-2から取り外してはなりません。SCP-003-2の古代文字の活動(パターン、周波数、色を含む)に大きな変化が見られた場合は3時間以内に報告を行ってください。活動が停止した場合は直ちに報告しなければなりません。SCP-003-02には指定された003-IXジェネレータから電力を常に供給しなければなりません。 説明: SCP-003は個別の起源を持つ2つの要素で構成され、これらはそれぞれSCP-003-1とSCP-003-02と指定されています。 SCP-003-1は未知の生物的なキチン質、毛髪、爪から構成されているようで、これらがコンピューターのマザーボードと同様の構成で配置されています。実験から、SCP-003-1の起源は既知の最古の回路基板の数千年前に遡ることが判明しています。SCP-003-1は知覚を有すると見なされますが、特定の条件下を除いて積極的な危険性はないと考えられています。 SCP-003-1はSCP-003-2と指定された石版上で発見され、現在もその上に設置された状態に置かれています。SCP-003-2に記された古代文字は既知のいかなる言語でも用いられておらず、淡く明滅する光を放っています。 SCP-003-2は(非有機的な)内蔵コンピュータにより制御され、SCP-003-2に損傷を与えるリスクなしに内部解析を行うことは困難と考えられます。SCP-003-2は熱、光、異常な型の放射線を制御して放出することが可能です。SCP-003-2には異常な起源を持つ内部電源が存在しますが、この電源機能は発見の数世紀前から低下し続けていると思われます。 SCP-003-2はおそらくSCP-003-1を収容するために作られたと推定されます。SCP-003-2から回収され部分的に解読されたデータは、SCP-003-1によって引き起こされる過去の、または潜在的な未来のLK-クラス再構築イベントに言及したものである可能性があります。 SCP-003の位置は遠隔透視チームSRV-04-ベータにより特定されました。SRV-04-ベータはSCP-003-2による意図的な接触を受けた可能性があります。他の組織も、おそらく同様の手段でSCP-003の存在を警告されています。M03-グロリアの分析や調査手順に反応を示さなかったことからすると、このような活動にもかかわらずSCP-003-2は知覚力を持たないと見られます。 SCP-003の温度が35℃を下回った場合、双方の構成要素が反応します。 まず、SCP-003-1は急激な質量増加に特徴づけられる成長状態に入ります。この成長状態は2つの段階により構成されています。双方の段階において、SCP-003-1は周囲の物質の一部を転換することで成長の養分とします。これは周囲の大気元素を含む無機物に始まり、次第に死んだ皮膚細胞、毛髪、キチン質、エナメル質、ケラチン質などを含む生命のない有機物へと拡大していきます。 第一段階は常に同様の形で進行します。質量を増大させたSCP-003-1は、クモヒトデ類の形状に類似した直径15メートル(直径3メートルの中央処理装置と思しきものを含む)の形態を取ります。続いて周囲の環境を観察するためと思われる感覚器官を形成し、周辺領域を部分的に未知の異常物質へと転換します(SCP-003-2は変換に耐性があるようです)。 SCP-003-1が生命のある有機的な物質と接触することにより第二段階が開始されます。SCP-003はこの有機物質から「鋳型」を作成し、この最初の「鋳型」に一致する生物とコミュニケーションを試みます。 第二段階では、SCP-003-1の成長は停止、減速するか、もしくはそのパターンが変化し、取り込んだ無機物や生命のない有機物を機能的に類似した構造に変換しながらその身体構成を異常な形で変化させます。 成長は第一段階と同様に起こるものの、第二段階においての成長率はSCP-003-1が生命のある有機物に接触している限り20-90%程度に抑えられます。成長の減速率はSCP-003-1が接触している生物の複雑さにより決定され、SCP-003-1は対象の分析に大きな処理能力を割いているものと思われます。 SCP-003-1の各段階の成長において、SCP-003-2は放射線を放出しSCP-003-1の成長を一時的に阻害、または温度を100℃以上に上げることによって成長を逆行させます。他の異常な手段によって同様の放射線の複製、記録がなされています。 SCP-003-01の生態は広範囲に及ぶ研究の対象となってきました。重要な成分がSCP-███、SCP-1512、SCP-2756と類似していることが特定されていますが、後者2つはそれ以上のSCP-003-01との関連が確かめられていません。またその2つの間に関連は見つかっておらず、さらには両者も完全には理解されていません(正確に言うと、SCP-003オブジェクトには広範な学際的研究がなされたため、SCP-003よりも理解されていません)。現在まで、SCP-003-1とこれらのSCPオブジェクトやその他のオブジェクトとの関係性や、外観以上の現代技術との関係性(また可能性としては未知のメカニズムによる擬態)を十分に説明するような説得力を持つ解析結果はありません。 補遺003-01: SCP-003-2に記された古代文字の言語学的分析による情報収集とデータの比較分析結果に従って、研究チームM03-グロリアはSCP-003の機能を分析するためにSCP-003と[データ削除済]とのリンクを確立しました。現在、SCP-003-1は知覚を有すると見なされなければならず、全ての実験において[データ削除済]と発生する「副産物」から常に最低1キロメートル以上遠ざけてください。 補遺003-02: M03-グロリアの実行した手順によりSCP-003-2の電源の状態は悪化しています。O5-10の指示によりM03-グロリアは手順を継続します。 補遺003-03: M03-グロリアの手順の間、SCP-003-1はその質量を倍増させて急速な構造的成長を始めました。温度は直ちに100℃に戻されました。SCP-003-1の成長と質量増加は9分6秒継続し、その後SCP-003-2から持続的な放射線量のスパイク波形が確認されました。SCP-003-1はこの放射線に反応し、3分39秒後に通常の状態に戻りました。成長部分は塵状に分解し、これは分析のために採取されました。その後SCP-003-1、SCP-003-2ともに検出可能な活動は停止しました。SCP-003-2は外部電源を接続するまで活性を再開しませんでした。SCP-003-2の古代文字は一様な灰色となり、3時間後も通常の活動に復帰しませんでした。ジェネレータ003-IIIからIXによる外部電源供給が無ければ、SCP-003-2はもはや封じ込めエリアの温度を35℃以上に維持できないようです。 補遺003-04: 補遺003-03の実験は再度実施され、SCP-003-1は再度成長状態に入りました。10分13秒後、SCP-003-2の再び持続的な放射線量のスパイク波形を生成しました。SCP-003-1の成長は36秒間停止しましたが、その後に以前の速度で成長を再開しました。 質量が4倍になった時点で、SCP-003-1は均一な外殻を形成しました。周囲の環境をスキャンして環境の一部を変換した後に、SCP-003-1は封じ込めを突破し観察室にいたM03-グロリアのメンバー9人と接触しました。メンバーと物理的接触を果たしたSCP-003-1は彼らを急速に成長する付属器官で包み込み、15分間成長を停止しました。その後SCP-003-1は成長を再開して構成要素を再配置し、中央付近には身長3メートル女性型ヒューマノイド、周辺部には主にSCP-003-1の周辺に突き出す「触手」を移動させることで形成した「髪」と突起物を生成しました。形態変化後、SCP-003-1は明らかに研究員とのコミュニケーションを試みて原始的な発声を始めました。[データ削除済] この時、ある未知の個人がエージェントの1小隊を伴って汚染された封じ込めエリアに接近しました。この個人はO5-10の命令で行動していると主張し、SCP-003-1とのコミュニケーションを試みました。[データ削除済] この事件の後、M03-グロリアのエージェント・ジャクソンはSCP-003-2のバックアップ電源を起動させ、温度を100℃に戻すことに成功しました。SCP-003-1は21分7秒後に通常状態に戻り、再収容は問題なく成功しました。 SCP-003-1に接触したM03-グロリアの9名のメンバー全員に身体的損傷やその後遺症はありませんでしたが、精神的外傷を負っていました。SCP-003により変換された以前の封じ込めエリアの物質は分解しておらず、分析が進行中です。 補遺 003-5: 前述の事件を踏まえ、O5-██、O5-██、O5-██の共同決定によってO5-10はO5評議会から除名されました。M03-グロリア手順は無期限凍結されました。 ==要M03-グロリア計画特別権限== 事件報告A21-Bサイクル8の転写です。O5司令部とスタッフへの公布のために掲載されています。 質問者: ██████████、█████、███████████ 観察者: O5-2、O5-5、O5-7、O5-10、スタッフ 対象: M03-グロリア主任、ティルダ・デイヴィッド・ムーズ博士 抜粋35A 彼女は私達と話そうとしていました。完全には理解できず、半分しか言語となっていないようなその声を、私達全員が脳内で聞きました。他のメンバーはすぐに気絶しましたが、私は少し長く意識を保っていました。別に私が精神的に強いというわけではありません。彼女は私達にそれぞれ別のことを伝えようとしていたのです。 彼女はジョーンズに、彼がその人生で体験してきたこと全ての記憶を追体験させました。全ては数分間のことでした。彼女は3名の研究員をバラバラに引き裂き、再び無傷な状態に戻しました。彼女は人間の感情や痛みを理解していません。私達が世界をどのように受け止めているかについてもあまり理解していないのです。 はい、私はその封じ込め手順は必須だと思います。 聞いて下さい。彼女は世界を作りなおそうとしています。楽園に。これは私達とは遥かに異なった存在である彼女の理解による楽園ですが、それでもこの楽園は私達人間のために設計されたものなのです。彼女は、最初に遭遇した十分に複雑な生物であればどんな生物であっても、そのための楽園を作ることで幸福を感じるでしょう。彼女を受け入れるのに十分に複雑な心を持ったものなら何でも。犬でも、蝿でも。 彼女がまた収容を破ることがあれば、私達はその時にそこにいなければなりません。 彼女は私達にイメージを見せました――イメージ、というものとは少し違うかもしれませんが。私はそれを脳内で見ることができましたが、写真ではありませんでした。私が最も近いと思うのは、目を突然固く閉じた時に見えるようなものを、もっと明るく複雑にしたようなものです。イメージはある種の金属音も伴っていました。 全体の作用は何らかの言葉のように感じられました。私は、彼女が私達の理解しているものを見たかったので、彼女は私達を理解できたのだと考えています。 彼女は私達の解析を完了するのに十分な時間はありませんでした。もしそれが完了していたら、何が起きていたか私には想像できません。