Sign In

指令耽溺おとうさん

 …。 「リアン。あんただけは…  俺が何になるか、知ってたんだろ?」  …ああ。 「完成していたなら。  そうしたら、  あんたには何が残っていたんだ。」  …さあな。  それはいつも俺に囁いてくださる、  ヘルメスだけが知ってるだろう。 「…あんたが持ってるものの中で。  指令に依らないものが、  一つでもあるのか?」  ふむ…  お前の言葉を聞いて、  じっくり思い返してみたんだ。  娘。  本当に無いみたいだ。そんなものは。  ある日、指令は俺に名前を変えろと言った。  だから新しい名前を作った。  ある日、指令は俺に家族を作れと言った。  だから妻に出会い、子を育てた。  そしてある日。  指令は俺に目の前で誰かが殺されるから、  何もせずその光景を見ていろと言った。  だから待った。  俺の妻と子は、  俺がどうしてじっと立ってばかりいたのか…  最期まで理解できなかったんだ。 「それを、あんたはただ…受け入れたのか。」  ふむ。そうしちゃいけないのか?