「……で、即効性のある毒が欲しいと?」 「あ、あぁ。街中じゃ毒を売っている奴なんて居るわけないし自分で作るにしても危険すぎるんだ……出来れば安く……」 「注文が多いね。ま、いいよ。これ。純度の高い毒で作った蜥蜴。これを焼いて食べさせればいいと思うよ」 「お代は……?」 「この店の事を喋らない事。喋ったらどうなるかは伝えないよ」 「わ、分かった……」 「そう言う会話をしたんだよおやっさん……!信じてくれ……!」 「毒を売る店……聞いた事が無いな……そこで買ったのがこの瓶の蜥蜴か……」 「あ、あぁ。今思えば毒で作った生物なんておかしい話だよな……!だから解放してくれよ……!」 「ふーむ……」 カポッ。 「!?」 「おやっさん!?なんで開けた!?」 「い、いやこれは勝手に……かはっ……!?」 「がっ……息が……ぁ……」 戸棚に立て掛けた契約書が光る。 「ん……あーあ。やっちまったねぇ。だから喋るなって言ったのに。これじゃあの地域一帯は全滅かもねぇ……」 三階に上がる。 「……瘴気が立ち上がってるね。まぁ、私はそれを売っただけなんだからねぇ。使い方は買った奴次第さ。」 二階に戻る。 「さて……ご飯だよ〜?」 襖を開ける。 純白の角と尾を持った金髪の龍人が縛られたまま睨みつけてくる。 「やぁ、姉さん。今日も穢れを沢山持ってきたよ?」 龍人の顔が青ざめる。 ”コイツ”は聖龍の種族。穢れを浄化して生物が生きられる世界を作るのが役割さ。私も聖龍として産まれる筈が、穢れた龍として産まれちまったからねぇ。 一族には冷遇、迫害、殺傷紛いの遊び。 こんな仕打ちを受けたんだから当然仕返しもしたさ。 ありったけの穢れや毒を吸って力を蓄えて。一族揃ってプライドが高すぎる奴らを皆殺しにしてやったのさ。 お陰で聖龍はほぼ全滅。唯一残った”コイツ”も私に捕まってこの始末さ。 「なんだい?穢れを浄化して生気を生み出すのは君の役割じゃないか」 「っ!貴様……!私にこれ以上酷い事をすればお前を引き裂……!」 「うるさいねぇ」 腹を強く殴り、嘔吐させる。 「うっ……げぇ……」 「うん、いい感じの量の生気だ。私が楽しむ分も有るねぇ。ほらご褒美だ」 腐った野菜や穢れを纏った蛆まみれの腐肉を口に押し込む。 「うっ!うーっ!!!!」 「吐いちゃダメだよ、ちゃんと食べな」 全部押し込む。食べ方は汚いがちゃんと食べてくれた。 「うっ……ひっく……」 「泣いたって私には響かないよ。そうだ、いつまでもそこに居たら退屈だろうからコレをあげるよ」 毒で作った芋虫を部屋に放つ。 「ひっ」 「君には浄化出来ない様な穢れの塊さ。触れたら皮膚が凍傷になったり、火傷になったり、爛れたり、もしくは全部になるかもね」 「た、たすけ……」 「じゃーね」 襖を閉め、封印をかけ直す。 「もし逃げられても穢れを吸いきった私の方が強いからねぇ。殺されないだけ有り難いと思って欲しいよ」 一階に戻る。 「さて、今日はどんな生物を作ろうかねぇ?生気でちゃんとした生物を作ってもいいし……生気をおやつにして楽しむのもいいねぇ……」